脱エクセルはなぜ必要?
メリット・デメリット、おすすめのツールを紹介
2023年07月28日
ご相談・無料お見積り職種や業種を問わず、Excelをまったく使っていないという企業は少ないのではないでしょうか。
その一方で、「脱エクセル」が提唱され、必要性を感じる声も増えています。
そこで今回は、脱エクセルはなぜ必要なのか、メリットやデメリット、Excelに代わるおすすめのツールを紹介します。
脱エクセルとは
「脱エクセル」とは、Excelからほかのツールに切り替えようという動きのことです。
これは、Excelの使用を完全にストップするという意味ではありません。
Excelを使うことで煩雑化したり、時間がかかっている業務に注目し、効率化につながるツールに移行することで生産性を高めるのが、脱エクセルの主な目的です。
これまで情報探しにかかっていた時間を大幅に削減できるため、業務効率化や生産性向上が期待できるでしょう。
今、脱エクセルが求められる理由
今、脱エクセルが求められている主な理由は、以下の2つです。
働き方の変化
時代の変化とともに、働き方も変化しています。
リモートワークが当たり前の現代では、Excelでの作業が効率の低下につながってしまうケースがあります。
例えば、もともとExcelは複数人で同時に作業することが想定されていなかったため、通常の設定で使用する場合、一人がファイルを開いていると、他の人は読み取り専用でしか開けなくなります。
Microsoft Excel 97以降はブックの共有設定ができるようになりましたが、機能の一部に制限がかかるため、表の作成やピボットテーブルの作成、マクロの記述などは使えません。
また、バージョンの異なるExcelではファイルが開けなかったり、ファイルに組み込まれたマクロが正常に機能しないなどの不具合が発生することもあります。
気軽に使いやすいという点はExcelのメリットですが、リモートワークが普及した昨今、あまり使い勝手が良いツールとは言えず、脱エクセルを求める声が高まっているのです。
DX化が加速
脱エクセルと併せて、DX化という言葉を耳にする機会も増えてきました。
DXとは、「デジタルトランスフォーメーション」のことで、デジタルデータや技術を活用して、ビジネスの改革を行うという意味で使われています。
2018年、経済産業省は「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」のなかで、
- 既存システムのレガシーシステム化
- システムの維持管理費の高額化
- 保守運用者の人材不足によるセキュリティリスク
などを指摘し、これらの課題を克服できない場合、2025年以降、1年間に最大12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があると警鐘しました。
これを受けて、脱エクセルを目指す企業が増加しています。
レガシーシステムとは、昔ながらの技術や仕組みで構成されたシステムのことです。
最新の技術に対応しておらず、保守・運用ができる人が限られてしまうことで、複雑化やブラックボックス化、維持管理費の高額化、セキュリティリスクにつながります。
Excelを利用した業務そのものがレガシーシステムの一つになりえます。
特定の人が作成した複雑な数式やマクロが組まれたExcelが、業務効率化の足かせとなり、デジタル社会での競争力を低下させている場合があります。
そのため、より業務に適したツールを導入し、いち早く脱エクセルを実現することで、DX化を加速しようという企業が増えているのです。
脱エクセルする主なメリット
脱エクセルで得られる主なメリットには、以下のようなことが挙げられます。
属人化を防げる
複雑な関数やVBAなどの機能を駆使してExcelを使いこなす人を「Excel職人」と呼ぶことがあります。
職人と聞くと良いイメージがありますが、実際に属人化やブラックボックス化の原因となってしまうため、悪い意味で使われることが多いです。
もともとExcelは個々での作業に適したツールのため、Excel職人が関数やVBAを活用して自動化ツールを構築したとしても、その設計が周囲に共有されることは少ないようです。
そのため、ツールの改修が必要になったときには、「〇〇さんでなければ分からない」という状態に陥りやすく、特定の人への依存が問題視されています。
脱エクセルに成功し、誰もが使えるツールへの切り替えができれば、このような課題は解消できます。
特定のスキルがなくても簡単に作業ができるようになれば、Excel職人に頼らざるを得ない状況を回避することができ、業務の属人化を防ぐことにつながるでしょう。
作業ミスによる効率低下を防げる
Excelの業務は手作業が基本です。
そのため、関数の参照先を間違えたり、保存漏れをしたりなど、人的ミスが起こりやすいというデメリットがありました。
重要なデータを誤って削除してしまったり、破損させてしまったりなど、深刻な問題を引き起こすリスクもあります。
脱エクセルにより手作業を減らすことができれば、人的ミスは劇的に減るでしょう。
特に、マニュアル化されている単純作業や反復作業は、自動化ツールを用いたほうが効率は良く、ミスも起こりにくいというメリットがあります。
大量のデータ処理が可能
32ビット版のOfficeでは、データモデルを含むブックの最大ファイルサイズは2 GB で、ブックで消費できるメモリの最大サイズは4 GBです。
パソコンのスペックによっても違いはありますが、Excelファイルはデータ量が多くなるほど開くのに時間がかかり、処理スピードが遅くなるため、業務に支障をきたすことがあります。
脱エクセルで大量のデータ処理が可能なツールを導入すれば、このような問題を解消することができ、業務スピードの向上につながります。
共同作業・リアルタイム更新が可能
Excelは、複数人で共同作業を行うツールとしては、あまり適していません。
共同作業をするにはMicrosoftアカウントとOneDrive(クラウドストレージ)が必要で、かつExcel Onlineでの作業が前提となります。
しかし、マクロの作成・実行などの機能は使えないため、複雑な操作を共同で行うことはできません。
また、Excelファイルを共有するには、ブックの情報を更新して保存をし、クラウドストレージにファイルをアップするという作業が必要です。
この作業をしているちょっとしたタイムラグが原因で、古い情報が参照されてしまうトラブルも発生しています。
リモートワークの普及により、共同作業やリアルタイム更新が可能なツールは増えています。
脱エクセルをしたほうが、現状の働き方に合っていると言えるでしょう。
権限設定が容易になる
Excelの場合、権限設定はファイル単位で行います。
一つひとつ設定しなければならず、手間がかかるうえに設定漏れやミスも起こりやすいため、高度な情報管理・セキュリティ管理が求められるシーンには向いていないと言えます。
脱エクセルにより権限設定が容易なツールを導入することで、必要な人だけにアクセス権を付与したり、閲覧制限をかけたりできるため、より適切でスムーズな情報共有ができるようになります。
脱エクセルにデメリットはある?
脱エクセルのデメリットとしては、新たなツールの導入・切り替えに、一定の時間と費用がかかることです。
Excelに代わるツールの選定と導入、新たなツールの使い方を覚えてスムーズに運用できるようになるまでには、少なくとも数ヶ月は見ておく必要があるでしょう。
できるだけUIがシンプルで、直感的に使いやすいツールを選ぶのがおすすめです。
また、ツールによっては導入時に高額の費用がかかる場合もあります。
ただし、これはあくまでも一時的なものです。
複数の業務をカバーして、効率化できるツールを選べば生産性は向上するため、結果的にコスト削減につながるケースが多いです。
最近は、従業員が個々に無料ツールやSaaSを使用するケースも増えています。
無料だからといって従業員が個々にアカウントを取得してしまうと、企業としてすべてを把握することは難しくなり、シャドーIT化してしまうリスクが高まります。
脱エクセルは、従業員個々で考えるのではなく企業全体で早期に取り組むことが重要です。
脱エクセルの進め方
続いては、脱エクセルの進め方として、具体的な手順を説明します。
Excelを使う業務の洗い出し
まずは、企業内におけるExcelの使用状況を把握しましょう。
どんな業務にExcelを使っているのか、細かく洗い出していきます。
人や部署単位ではなく、業務単位で行うのがポイントです。
その際、Excelを使用することで起こる問題点や課題、不便さなども併せてヒアリングしておくと、脱エクセルが必要かどうかの判断がしやすくなります。
脱エクセル・活エクセルを見極める
脱エクセルと言っても、必ずExcelをやめなければいけないわけではありません。
なかには、Excelを使ったほうが効率良く進められる業務もあるでしょう。
無理に新たなツールに切り替えて、負担がかかるようでは脱エクセルの意味がありません。
Excelを活かしたほうが良いのか、脱エクセルするべきなのか、業務単位で見極めることが必要になります。
導入するツールを選定する
脱エクセルの対象となる業務を選定したら、どの業務にどんなツールが有効なのか、導入するツールの検討に入ります。
どんな業務に使うのか、何人で使うのか、どんな機能が使えるのかなどを比較しながら、自社に合ったツールを絞り込んでいきましょう。
一つのツールで複数の業務をカバーできるツールなら、より費用対効果を高めることができます。
脱エクセルにおすすめのツール4選
ここからは、脱エクセルを進めるときにおすすめのツールを紹介します。
Jira(プロジェクト管理ツール)
Jiraは、アトラシアン社が開発したプロジェクト管理ツールです。
アジャイル開発チーム向けのソフトとして開発されたものですが、ソフトウエア開発現場以外でも活用されています。
Jiraは、さまざまな業務に役立つテンプレートが豊富です。
例えば、カンバンボードでは「未着手のタスク(TO DO)」、「進行中のタスク(IN PROGRESS)」、「作業を終了したタスク(DONE)」のように並べて表示することができます。
業務内容と進捗状況を一目で把握できるだけではなく、他のメンバーとの情報共有・タスク管理が容易なため、部署をまたいだプロジェクト管理や全社共有の業務管理システムとして役立ちます。
Excelでのタスク管理、情報共有に限界を感じている場合は、Jiraの導入がおすすめです。
https://aslead.nri.co.jp/products/jira/Mendix(ローコードプラットフォーム)
Mendixは、ビジネスユーザーとITスペシャリストの円滑な連携を実現するローコード開発プラットフォームです。
脱エクセルをはじめ、社内DXに活用できます。
用件定義やアプリケーションのシナリオ策定、簡単な実装であれば、プログラミングの知識がないビジネスユーザーでもできるため、アプリケーションの迅速な構築が可能です。
また、既存の社内システムのモダナイゼーションに適しているという特徴があります。
社内の基幹システムに機能を追加したり、これまでExcelで行っていた集計業務や計算業務を自動化したりなど、業務効率向上につながるDX化が可能です。
さらに、Mendixは設計をツール上で行い、そのまま動かせる設計駆動開発型です。
打ち合わせをしながらデモができるので、要件変更や機能追加に現場のアイデアを取り入れやすいというメリットもあります。
OneTrust(個人情報管理)
脱エクセルや社内DX化を進めるにあたって、個人情報の管理・プライバシーの保護は避けては通れない問題です。
OneTrustは、世界で1万社以上の導入実績を誇るプライバシーガバナンス・プラットフォームです。社内のITシステム、情報資産、個人情報などを一元管理することができます。
レポート機能やダッシュボード機能により、対応すべきリスクを一目で把握できるため、リスク対応のフォローアップやプライバシー保護に関する業務の促進に役立ちます。
また、OneTrustはさまざまな外部ツールとの機能連携が可能です。
既存のツールとも連携しながら、自社の業務に合った使い方ができるでしょう。
ジョーシス(ITデバイス & SaaS統合管理クラウド)
情報システム部門には、脱エクセルが可能な業務が多いです。
社内のITデバイスやSaaSアカウントの管理をExcelで行っているという企業も多いのではないでしょうか。
ジョーシスは、ITデバイスとSaaSの統合管理サービスです。
SaaSやITデバイスの利用状況・利用料金を、従業員に紐づけて視覚的に把握することができます。
SaaSアカウントを一元管理することで、退職者アカウントの削除漏れ、不要なSaaSアカウントの解約漏れを防げるなど、ITコストの無駄を削減することにつながります。
また、従業員が個人で利用しているSaaSやクラウドサービスもまとめて管理できるため、シャドーIT対策ができるというメリットもあります。
さらに、ジョーシスを導入すれば、入退社業務のアウトソース化も可能です。
デバイスの購入、キッティング、廃棄まですべて任せられるため、脱エクセルやDX化はもちろん、情報システム部門のリソース不足に悩む企業にもおすすめです。
脱エクセルで生産性向上をするならasleadにご相談ください
時代の変化、働き方の変化とともに、業務の進め方や適したツールも変化するものです。
業務効率化を図り、企業の競争力や生産性を高める手段の一つとして、脱エクセルを検討してみてみてはいかがでしょうか。
asleadではアトラシアン製品のみならず、有用なオープンソース製品を最大限に活用して、各ツールの導入の総合的に支援を行い、無駄のないスムーズな脱エクセルをサポートします。
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