SASTツール選びの決定版!CI/CD連携とおすすめツールで開発を加速

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aslead編集部
こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。
「SASTツールの種類がたくさんあって、どれを選べばいいか分からない」「CI/CDパイプラインにどうやって組み込めば、もっと効率的にセキュリティを高められるの?」そう考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、効果的なSASTツールの選定基準から、CI/CDパイプラインへの具体的な連携方法、さらには主要なSASTツールの紹介まで、導入を検討しているあなたが知りたい情報を網羅的に解説します。最適なツールを選び、開発プロセスにSASTをスムーズに統合することで、セキュアなソフトウェア開発を加速させましょう。
SASTツール選定のポイントとおすすめツール
効果的なSAST導入のためには、自社の開発環境や要件に合ったツールを選定することが非常に重要です。
ツール選定の重要視すべき観点
ツールを選ぶ際には、単に機能の多さだけでなく、以下の点を総合的に評価することが大切です。
- 対応言語とフレームワーク 開発しているアプリケーションが使用しているプログラミング言語(Java, Python, C#, JavaScriptなど)やフレームワーク(Spring Boot, Ruby on Rails, Reactなど)に、選定するSASTツールが対応しているかを確認するのは最も基本的なポイントです。対応言語が少ないツールを選んでしまうと、一部のアプリケーションしかスキャンできないという問題が発生します。
- 検出精度と誤検知率 ツールの検出精度が高く、かつ誤検知率が低いことは、開発者の負担を軽減し、効率的な脆弱性修正サイクルを確立するために不可欠です。可能であれば、対象となるコードベースで実際にトライアルを行い、誤検知の多さや見逃しの有無を確認することをおすすめします。ベンダーが提供するデモや評価版を積極的に活用しましょう。
- CI/CD連携とレポート機能 現代の開発においては、CI/CDパイプラインへのスムーズな組み込みが求められます。SASTツールがJenkins、GitLab CI、GitHub ActionsなどのCI/CDツールと簡単に連携でき、自動スキャンや結果のフィードバックを効率的に行えるかを確認しましょう。また、検出された脆弱性の詳細なレポート機能、開発者が理解しやすい形式での出力、Jiraなどの課題管理ツールとの連携機能も重要です。
- コストとサポート体制 ツールの導入コスト、ライセンス費用、メンテナンス費用などを総合的に評価する必要があります。オープンソースのSASTツールも存在しますが、商用ツールに比べてサポート体制が手薄な場合があります。ベンダーのサポート体制(日本語対応の有無、問い合わせ対応速度、トレーニング提供など)も、長期的な運用を考える上で重要な要素です。
主要なSASTツール紹介
市場には多くのSASTツールが存在しますが、代表的なものをいくつかご紹介します。(2025年現在)
- BlackDuck Coverity: 静的解析ツールの老舗で、非常に高い検出精度と信頼性が評価されています。大規模なコードベースや複雑なシステムに適しており、幅広い言語と規格に対応しています。
- Checkmarx SAST (CxSAST): 業界をリードするSASTソリューションの一つで、広範なプログラミング言語をサポートし、高い検出精度と詳細なレポート機能が特徴です。CI/CDパイプラインとの連携も強力です。
- Veracode Static Analysis: クラウドベースのSASTソリューションとして知られ、手軽に導入できる点が魅力です。開発プロセス全体にわたるセキュリティテストサービスを提供しています。
- Fortify Static Code Analyzer (SCA): HPE(現Micro Focus、現在はOpenText傘下)が提供するSASTツールで、詳細な脆弱性分析と強力なレポート機能、幅広い統合オプションが特徴です。
- SonarQube: オープンソースのコード品質・セキュリティ管理プラットフォームで、SAST機能も提供しています。多くの言語に対応し、静的解析結果を可視化するダッシュボードが魅力的です。コミュニティ版は無料で利用できますが、高度な機能やサポートは有償版で提供されます。
これらのツールはそれぞれ特性が異なりますので、自社のニーズに最も合致するものを選ぶために、デモンストレーションやトライアルを積極的に活用しましょう。
SASTをCI/CDパイプラインに連携する方法
現代の高速なソフトウェア開発において、SASTの効果を最大限に引き出すためには、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインへの組み込みが不可欠です。これにより、開発者はコードをコミットするたびに自動的にセキュリティスキャンが実行され、脆弱性を早期にフィードバックとして受け取ることができます。
CI/CDパイプラインにおけるSASTの役割
CI/CDパイプラインは、開発、テスト、デプロイのプロセスを自動化し、ソフトウェアを迅速かつ頻繁にリリースするためのものです。このパイプラインの中にSASTを組み込むことで、以下の役割を果たします。
- 早期フィードバック:開発者がコードをコミットした直後にSASTスキャンを実行し、脆弱性を迅速にフィードバックします。これにより、問題が複雑になる前に修正できます。
- 品質ゲート:ビルドプロセスの一部としてSASTを組み込み、特定のセキュリティ基準を満たさない場合はビルドを失敗させる「品質ゲート」として機能させることができます。これにより、脆弱なコードが次のステージに進むのを防ぎます。
- 自動化と効率化:手動でのセキュリティスキャンにかかる時間と労力を削減し、セキュリティテストプロセス全体を自動化します。
- 継続的なセキュリティ確保:コードベースの変更があるたびにセキュリティチェックが行われるため、常に最新のセキュリティ状態を維持できます。
Jenkins, GitLab CIなどとの連携事例
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Jenkins: Jenkinsには多くのSASTツールベンダーが提供するプラグインが存在します。これらのプラグインを利用することで、Jenkinsfile内で簡単にSASTスキャンステップを定義できます。例えば、
sastScan()
のような専用のステップが用意されている場合もあります。 -
GitLab CI/CD: GitLabは、もともと「DevSecOps」を掲げており、CI/CDパイプライン内にSAST機能を標準で統合する機能(GitLab SAST)を提供しています。
.gitlab-ci.yml
に数行追加するだけで、ビルドパイプラインの一部としてSASTスキャンを実行し、マージリクエストで結果を表示できます。外部SASTツールとの連携ももちろん可能です。 - GitHub Actions: GitHub Actions Marketplaceには、様々なSASTツールのアクションが公開されています。これらをワークフローファイルに組み込むことで、プルリクエスト時などに自動的にSASTスキャンを実行し、結果をGitHubのインターフェース上で確認できます。
SASTのCI/CD連携は、単なるツールの導入にとどまらず、開発文化とプロセス全体を見直す機会となります。開発チームとセキュリティチームが密に連携し、継続的な改善を図ることが成功の鍵です。
「SASTを導入したいけれど、どのツールが自社に合っているか分からない」「既存の開発プロセスにどう組み込めばいいのか悩んでいる」といったお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。asleadでは、お客様の開発環境や要件に合わせた最適なSAST導入のご支援をしております。セキュリティと開発効率の両立に向けて、ぜひお気軽にご相談ください。