コーディングルール(コーディング規約)とは?目的や作り方、サンプルを紹介
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aslead編集部
こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。
ソフトウェア開発において、プログラマーの作業品質を高め、生産性を向上させるために有効なのが、「コーディングルール(コーディング規約)」です。
特に、複数のプログラマーが参加するプロジェクトでは、コーディングルールの有無が品質とスピードを左右するでしょう。
この記事では、コーディングルールを作成する目的や作り方について、分かりやすく解説します。コーディングルールのサンプルも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
コーディングルール(コーディング規約)とは
コーディングルール(コーディング規約)とは、ソフトウェア開発において、ソースコードの書き方を統一するためのガイドラインです。
プログラミング言語が持つ柔軟な表現力を適切に管理し、プロジェクト全体で一貫性のあるコードスタイルを確立するために定められます。
コーディングルール(コーディング規約)を作る目的
コーディングルール(コーディング規約)を作成する目的は、プログラムの品質を一定に保ち、プロジェクト全体の生産性と保守性を向上させることです。
コードの書き方にルールを設けることで、属人化を防ぎ、担当するプログラマーが変わっても一貫した品質を保つことができます。
さらに、コードの理解が容易になるため、保守や運用が効率的にできるというメリットもあります。
コーディングルール(コーディング規約)の主な内容
コーディングルール(コーディング規約)に含める内容は、主に以下のようなものが挙げられます。
- 目的
- プロジェクトの構成
- 命名規則
- コーディングスタイル
- リソース
- 禁止事項
- 推奨事項
- 制限事項
また、プロジェクトによって内容が追加されることも多いです。
目的
まずは、なぜコーディングルールを定めるのか、品質向上や保守・運用の効率化など、期待する成果について記載しましょう。
目的を明確にすることで、開発者一人ひとりが「ルールを守ろう」という意識を持つようになります。
プロジェクトの構成
コーディングルールには、プロジェクトの構成に関する統一ルールも明記しましょう。
具体的には、プロジェクト名称やフォルダ構成、メタ情報の指定方法などを記載するのが一般的です。
命名規則
命名規則とは、プログラム内で使用する変数名や関数名、クラス名などを一貫した方法で付けるためのルールです。
命名規則が統一されていないと、コードの可読性が低下し、バグの原因にもなり得ます。
命名規則にはキャメルケースやパスカルケース、スネークケースなどの複数の種類があるので、どれを用いるべきかも記載しましょう。
コーディングスタイル
コーディングスタイルとは、コードのレイアウトに関するルールのことです。
コメントや空白の使い方、括弧の配置などを具体的に記載します。
ルールを設けないと、プログラマーごとの好みによってコードがばらつき、統一感が失われることがあります。
リソース
リソースとは、プログラムが参照する外部データのことです。
具体的には、画像、テキスト、アイコン、ダイアログなどが含まれます。
リソースの利用に際しては、使用方法や利用制限についても明確に定めておきましょう。
禁止事項
コーディングルールには、やってはいけない禁止事項も記載する必要があります。
例えば、「if文の中で変数に代入するのは禁止」といった具体的な禁止事項を記載します。
かつては使用されていたものの、現在は使用されなくなった構文についても、記載しておくことをおすすめします。
推奨事項
コーディングルールの中には、推奨されるコーディング手法やアプローチも記載します。
同じ機能を実装する場合でも、より良い方法やパフォーマンスに優れた手法を推奨することで、コードの品質と一貫性を高めることができます。
制限事項
制限事項とは、コーディングルールの中で、特定の書き方やスタイルに制限を加えるものです。
禁止事項ほど厳しくはないものの、「推奨しない」という点を記載しましょう。
理由を明記することで、プログラマーがルールの意図を理解しやすくなります。
コーディングルール(コーディング規約)を作るときの注意点
コーディングルール(コーディング規約)を作成する際には、注意点やコツを押さえることが大切です。
ここからは、コーディングルールの作成に役立つポイントを紹介します。
プロジェクトごとに作成する
コーディングルールは、プロジェクトごとに作成します。
プロジェクトごとに異なる開発言語やプラットフォーム、特有の要件が存在するため、他のプロジェクトで使ったルールをそのまま使い回すのは避けましょう。
また、一般的なコーディングルールでは優れたプログラマーの創造性や生産性を阻害する可能性もあります。
チームメンバーの技術レベルやプロジェクトの特性に合わせたカスタマイズが効果的です。
他のプロジェクトで効果的だった部分を参考にするのは良いですが、必ず見直しを行い、必要に応じて調整しましょう。
読みやすさを重視する
コーディングルールを作成する際は、読みやすさを重視しましょう。
ルールを詰め込みすぎると内容が複雑になり、理解するまでに時間がかかってしまいます。
初めて参加するプログラマーもすぐに理解できるように、簡潔で分かりやすいルールの作成を心がけましょう。
ルールを設けた理由を記載する
コーディングルールには、なぜそう決めたのかという理由を添えるのもポイントです。
なぜ禁止されているのか、なぜ推奨されているのか、その背景を記載することで、プログラマーの理解と遵守する意識が高まります。
想定できる例外は記載する
コーディングルールには、すべてのケースが当てはまるわけではありません。
特殊な状況における混乱を避けるために、想定される例外については、ルールの中で明確にしておくと良いでしょう。
最新技術へのアップデートが必要
コーディングルールは、一度作成して終わりではありません。
技術が進化するにつれて、ルールも適宜更新する必要があります。
コーディングルールは定期的に見直し、最新の技術に対応させましょう。
常に評価・見直しを行う
コーディングルールを作成した後は、それが実際に効果を発揮しているかどうかを評価することが大切です。
なかには「コーディングルールは不要」と考えるプログラマーもいるため、無駄なルールや効果のないルールがないかを定期的にチェックし、プロジェクトルールがプロジェクトの品質や効率化に貢献していることを確認することが大切です。
コーディングルール(コーディング規約)のサンプル
最後に、コーディングルール(コーディング規約)のサンプルを紹介します。
コーディングルール(コーディング規約)
1. 目的
このコーディング規約は、プロジェクトのコード品質を高め、保守性と生産性を向上させるために定められています。本規約を遵守することで、プロジェクト内のコードが一貫して理解しやすく、ミスやバグを減らすことができます。
2. 適用範囲
本規約は、プロジェクト「[プロジェクト名]」に参加するすべての開発者に適用されます。使用言語は[言語名]、プラットフォームは[プラットフォーム名]です。
3. プロジェクトの構成
ディレクトリ構成: プロジェクトのディレクトリ構成は以下の通りに統一します。各ディレクトリには対応する機能やリソースのみを配置します。
・ファイル命名規則
ファイル名は、機能や役割に応じて分かりやすく命名します。ファイル名は小文字のスネークケースまたはケバブケースを使用します。
例: user_service.js, order-model.js
・コンポーネントの構成
各コンポーネントは、関連するテンプレート、スタイルシート、スクリプトを一つのフォルダにまとめて配置します。
・設定ファイル
プロジェクト全体の設定や環境設定に関するファイルは、プロジェクトのルートディレクトリに配置します。
例: .env, webpack.config.js, package.json
4. 命名規則
・変数名
小文字のキャメルケースを使用します。
例: userName, totalAmount
・関数名
小文字のキャメルケースを使用します。
例: calculateTotal(), fetchUserData()
・クラス名
パスカルケースを使用します。
例: UserManager, OrderProcessor
・定数名
全て大文字でアンダースコアで区切ります。
例: MAX_RETRIES, DEFAULT_TIMEOUT
5. コーディングスタイル
・インデント
スペース4つを使用します。タブは使用しません。
・行の長さ
1行の長さは80文字以内とし、それを超える場合は適切に改行します。
・括弧の位置
開き括弧 { は同じ行に置き、閉じ括弧 } は対応するステートメントの下に置きます。
・空白の使用
演算子の前後、カンマの後にスペースを入れます。
6. コメント
・行コメント
// を使用し、説明したいコードの上に記載します。
・ブロックコメント
/* */ を使用し、複数行のコメントを記載します。
7. リソースの使用
・画像ファイル
画像ファイルは /assets/images/ に保存し、ファイル名は小文字のスネークケースを使用します。
例: user_profile.png
・テキストファイル
テキストファイルは /assets/text/ に保存し、ファイル名は小文字のスネークケースを使用します。
例: terms_of_service.txt
8. 禁止事項
・グローバル変数の使用
グローバル変数は使用しないでください。必ずスコープ内で定義してください。
・魔法の数値の使用
マジックナンバー(意味のない数値)は避け、定数として定義してください。
9. 推奨事項
・エラーハンドリング
すべての例外をキャッチし、適切に処理してください。
・コードの再利用
同じコードを複数回記述しないよう、再利用可能な関数やクラスとして抽象化してください。
10. 制限事項
ループ内での配列操作: 配列をループ内で頻繁に操作する場合は、パフォーマンスの低下を避けるため、可能な限り配列の長さや操作を外に出してください。
11. 更新と評価
コーディング規約は、技術の進展やプロジェクトの進行に合わせて定期的に見直し、必要に応じてアップデートします。すべての開発者は、変更があった場合に最新の規約を確認し、遵守する義務があります。
コーディングルール(コーディング規約)は常にアップデートを意識しよう
ソフトウェア開発の品質向上とプログラマーの業務効率化を図るには、プロジェクトごとに分かりやすいコーディングルール(コーディング規約)を作成しましょう。
作成したコーディングルールは、定期的な評価・見直しを行い、アップデートすることも大切です。
メンバー全員がルールの変更を認識し、適用することで、チーム全体の理解が深まります。その結果、一貫性のあるコードベースを維持することが可能となるでしょう。
コーディングルールを適切に定めてAI活用をしよう
AIを活用したコーディング自動化ツールを有効に活用するためには、コーディングルールが重要になります。コーディングルールを定め、AIにインプットをすることで、コーディングルールに則ったコードをAIが自動で出力してくれます。
AIを活用したコーディング自動化ツールのなかでも、特に注目されているのが「Cody」です。
Codyは、高度な自然言語処理技術を利用して、開発者のコード生成や補完、レビューなどを支援するツールです。
株式会社野村総合研究所(NRI)のasleadでは、ソフトウェア開発現場の効率化に役立つ様々なツール・ソリューションを提供しています。
コーディングルールの作成からAI技術を用いたコーディングツールの導入まで、幅広くサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。