働き方改革とは?目的やメリット、実現に向けた取り組み方を解説
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aslead編集部
こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。
近年、働き方改革は企業経営において重要なテーマとなっています。
2019年4月1日から「働き方改革関連法」が施行され、企業は労働者の個々の事情に応じた柔軟な働き方への対応が求められるようになりました。
働き方改革の実現に向けた取り組みを進める企業が増える一方で、「具体的に何をすれば良いのか分からない」「人件費が増えるのでは?」など、悩みや疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、働き方改革の意義や目的、具体的な取り組みについて解説します。企業側・労働者側それぞれの視点でメリット・デメリットを説明するので、ぜひ参考にしてください。
働き方改革とは?
働き方改革は、従来の働き方や労働環境に革新をもたらす取り組みの総称です。
従業員がより柔軟で効率的に働ける環境を整え、それによって企業の生産性や従業員の満足度を向上させることを目指しています。
具体的には、労働時間の柔軟化やリモートワークの導入、育児・介護支援の充実などの方策が提案されています。
個々の事情に応じて、従業員が働き方を自分で選択できる社会の実現が求められているのです。
働き方改革の目的
働き方改革の目的は、従業員が個々の事情に合わせて、自分で働き方の選択ができる社会を実現することにあります。
企業が柔軟な働き方に適応することで、従業員にとって働きやすい環境が整い、生産性が向上します。従業員一人ひとりの生産性向上は、企業の成長につながるでしょう。
企業の成長により従業員の賃金を増やす余裕が生まれれば、従業員の消費が促進されるため、社会経済に影響を与える場合もあります。
つまり働き方改革は、企業、労働者、そして社会全体にとってプラスの影響をもたらす取り組みとして考えられているのです。
働き方改革が求められる背景
働き方改革が求められる背景は、主に3つあります。
- 労働人口の減少
- 多様な働き方へのニーズ
- 働き方の変化
労働人口とは、15歳以上の就業者と完全失業者を合わせた人口のことです。
総務省統計局「労働力調査」のデータによると、2022年の平均労働人口は6,902万人で、前年比で5万人減少しています。
内訳としては、男性は22万人の減少、女性は16万人の増加という結果です。
少子高齢化の進行により、日本の生産年齢人口(15~64歳の人口)は1995年をピークに減少しています。また、将来的には労働人口も大幅に減少することが予測されています
そのため、働き方改革では、従来のような定時労働やフルタイムでの働き方だけではなく、柔軟な働き方やワークライフバランスの確保が求められるようになっています。
特に、子育て世代や高齢者など、従業員のライフステージに対応した施策が打ち出されていると言えるでしょう。
働き方改革の主な内容
国が推進する「働き方改革」の具体的な内容については、2019年4月1日に施行(但し、中小企業については2020年4月1日施行)された「働き方改革関連法」に定められています。
主な内容は、以下の通りです。
- 36協定で定める時間外労働の上限規制
- 月60時間以上の時間外労働に対する割増賃金引上げ
- 年次有給休暇の年5日の時季指定義務
- フレックスタイム制の清算期間の延長
- 高度プロフェッショナル制度の新設
- 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
(同一企業内における正規雇用・非正規雇用の間の不合理な待遇差の解消) - 産業医・産業保健機能の強化
- 労働時間等設定改善法の改正・勤務間インターバル制度 など
これらの施策により、労働者の生産性向上や働き方の多様化、ワークライフバランスの向上などが期待されています。
働き方改革を実現するメリット
働き方改革の実現は、企業と労働者の双方にメリットがあります。
実際にどのようなメリットがあるのか、いくつか見ていきましょう。
【労働者側】ワークライフバランスの実現
ワークライフバランスの充実は、働き方改革の大きな目標の一つです。
- 在宅勤務で通勤にかかる時間や費用を削減できる
- 時間外労働が減り、プライベートな時間を増やせる
企業が働き方改革に取り組むことで、労働者は時間を有効に活用できるようになります。
実際に、「趣味を楽しむ時間が増えた」「資格をとるための勉強を始めた」「家族と一緒に過ごす時間が増えた」などの声も多く、人生そのものが充実する傾向にあります。
【労働者側】自分に合った働き方ができる
働き方改革には、自分に合った働き方を労働者自身が選択できるというメリットもあります。
- 生活リズムや業務の繁忙度に応じて勤務時間を調整できる(フレックスタイム制)
- 一つの職務を複数人で分担することで、育児や介護をしながら仕事を続けられる(ジョブシェアリング)
少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少している現代では、育児・介護と仕事の両立に悩む方も多いです。
企業が「フレックスタイム制」や「ジョブシェアリング」を導入すれば、従業員はより柔軟な働き方が可能となります。
育児や介護を理由にキャリアを中断する必要がなくなり、自分のペースで仕事を続けられるでしょう。
【企業側】人材不足の解消につながる
働き方改革によって労働者のストレスが低減したり、モチベーションがアップすることは、企業側にとってもメリットがあります。
- 育児や介護のために退職する人が減少する
- 居住地にとらわれずに優秀な人材を採用できる
人材採用にあたり、育児休業・介護休業の取得率向上は企業のPRとなります。
育児や介護を理由に退職者が減り、全国規模で人材募集を行うことで、人材不足の解消につながる場合もあるかもしれません。
【企業側】従業員満足度の向上
働き方改革によって、より魅力的な環境を整えることは、従業員満足度の向上につながります。
- 無理な長時間労働を是正することで、パフォーマンスの高い従業員が増える
- 育児や介護との両立がしやすい環境を整えることで、風通しが良くなる
従業員一人ひとりのモチベーションがアップし、生産性が向上すれば、企業側にとっても大きなメリットです。
働き方改革にデメリットはある?
働き方改革は、国が主体となって行なっている取り組みです。
法律も整備されているため、企業側としては無視できるものではありません。
ただし、働き方改革には、デメリットも存在します。
労働側も企業側も、メリットだけではなくデメリットについては、あらかじめ理解を深める必要があるでしょう。
働き方改革のデメリットは、以下の通りです。
【労働者側】残業代が減る
働き方改革関連法の施行により、以下の2つが企業側に求められるようになりました。
- 時間外労働の上限規制
- 時間外労働に対する割増賃金の引き上げ
これにより、「残業したくても、会社が認めてくれない」という状況が生まれることが考えられます。
時間外労働時間が減れば、当然ながら残業代も減ることになるでしょう。
月々の収入を残業代込みで考えていた方にとって、時間外労働の是正による収入の低下はデメリットとなり得ることです。
【労働者側】ストレスが増える
「残業を認めてもらえない」「短時間勤務で16時に退勤しなければならない」など、限られた時間内に仕事を終わらせなければならないことを、プレッシャーに感じてしまう労働者もいるでしょう。
業務量が変わらないのに働く時間が制限されれば、どうして業務が過密化するため、ストレスの増加や燃え尽き症候群などを引き起こすリスクもあります。
企業としては、「残業が減る=労働者のストレスが減る」とは限らないことも、知っておかなければなりません。
【企業側】コストの増加
働き方改革によって離職率が低下すれば、人材の確保はしやすくなります。
しかし、システム費や人件費などのコストが増える可能性は高いです。
例えば、在宅勤務やリモートワークを導入する場合、ビデオ会議ツールやチャットツール、勤怠管理システムなど、その仕組みを構築するための初期費用がかかります。
また、時間外労働を規制したいけれど業務量は減らせない場合、増員しなければタスクの完了が難しくなるでしょう。
人員を増員すれば、当然ながら人件費は増加します。
【企業側】環境整備が必要
企業が働き方改革に取り組むためには、就業規則の改定、短時間勤務制度やフレックスタイム制度のルール制定、労使協定の締結など、さまざまな手続きが必要です。
また、ノートパソコンを貸与したり、システム・ツールを導入したりなど、物理的な環境の整備も必要になるでしょう。
働き方改革は、しっかりと計画を練ったうえで準備をして、労働者が働きやすい環境を整えることが重要です。
働き方改革の基本的な取り組み方
働き方改革に取り組むための基本的な流れは、以下の通りです。
① 自社の現状と課題を把握する
② 課題を解決するための目標を立てる
③ 利益・費用の観点から実際に行う取り組みを決める
④ 取り組みを実行に移す
⑤ 成果を点検・評価し、PDCAを回していく
働き方改革を実現するため、まず自社が抱える課題を把握しなければなりません。
次に、現状を良くするためにどのような取り組みが必要なのかを考え、それによって得られるメリットや効果を意識したうえで、何をするかはじっくり検討しましょう。
そして、大切なのは、PDCAを回していくことです。
働き方改革の成果について継続的に評価・改善することで、変化する社会環境下においても、従業員にとって働きやすい労働環境を提供し続けることができるのです。
働き方改革にはITシステム・ツールが不可欠!
働き方改革に取り組むことは、労働者はもちろん、企業側にとってもメリットがあります。
しかし、デメリットがあることも忘れてはいけません。
例えば短時間勤務制度を導入する場合、労働者の体力的負担は軽減され、ワークライフバランスが充実するなどのメリットがある一方で、時間内に業務を終わらせなければならないというプレッシャーは増えることになります。
業務量やプロセスが変わらず、作業時間だけを規制してしまうと、労働者にとっては負担の増加につながる可能性があるため、注意しておきましょう。
企業の負担を軽減しながら、限られた時間内で労働者が高い付加価値を生み出すためには、ITシステムやツールの導入が非常に効果的です。
株式会社野村総合研究所(NRI)のasleadでは、お客様の企業に最適な働き方改革の実施プランをご提案いたします。ITシステムやツールの導入から運用、保守に至るまで、全面的にサポートいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。