営業・マーケティング部門でのNotion活用法:顧客管理からナレッジ共有まで

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aslead編集部
こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。
はじめに:営業・マーケティング現場のよくある課題
営業・マーケティングチームでは日々多数の顧客対応やマーケ施策を並行して進めています。その中で、情報管理やコミュニケーションに関して次のような課題が指摘されています。
- 情報が分散し探しにくい: Excelやメールで顧客リストを管理していると、データの重複や漏れ、編集権限の混乱が頻繁に発生します。必要な資料や最新の顧客情報を見つけるのに時間がかかりがちです。
- ノウハウが属人化してしまう: 業務上の知識や過去の成功事例が個人の手元に留まり、担当者の異動・退職時に蓄積したノウハウが失われてしまいます。
- 部門間で情報共有が不足: 営業チームとマーケティングチームで最新の状況を共有する仕組みがなく、対応の二重化や進捗遅延が生じることがあります。例えば、マーケティング施策で獲得したリード情報が営業側に適切に引き継がれない、といったケースです。
こうした課題に対しては、情報を一元管理し業務プロセスを可視化することで解決が期待できます。実際、オールインワンのワークスペースツールであるNotion(ノーション)を中心に据えて情報管理の土台を作れば、営業・マーケ部門のコラボレーションを飛躍的に効率化できるでしょう。本記事では、営業・マーケティング業務におけるNotionの具体的な活用法を、CRMによる顧客管理からナレッジ共有、プロジェクト管理まで順に紹介します。ぜひ「すぐに使ってみたい」と感じた活用アイデアがあれば、自社でも試してみてください。
ユースケース①:顧客管理(簡易CRMとして活用)
まず、Notionを簡易CRMツールとして活用する方法です。専用のSFA/CRMを導入していない場合や、Excel管理から脱却したい場合に、Notionのデータベース機能で顧客情報を一元管理できます。営業チーム全員で使える顧客台帳を作成し、リードから既存顧客まで一括で管理しましょう。
顧客データベースの一元管理
Notionではページをレコード(項目)として扱えるデータベースを作成し、顧客管理に活用できます。例えば「顧客データベース」を作り、各顧客を1ページに見立てて会社名/担当者名/連絡先/ステータス/商談メモなどのプロパティ(項目)を設定します。こうすることで、従来バラバラだった顧客情報を1か所に集約し、チーム全員が常に最新情報にアクセス可能になります。実際、Notion向けのテンプレートを使えば顧客情報の管理から提案履歴、見込み案件の売上管理まで一つのワークスペースで実現可能です。各顧客ページには過去のやりとりや契約内容など必要なドキュメントを添付しておけるため、メールやスプレッドシートを探し回る手間もなくなるでしょう。
顧客情報のカスタマイズと活用
従来のCRMツールでは決まった項目しかない場合もありますが、Notionなら自社の業種や営業プロセスに合わせて自由に項目を追加できます。たとえば「業界」「企業規模」「リードソース(流入経路)」など独自のプロパティを設けて顧客を分類し、自社なりの優先度付けやフォロー計画に活用できます。各顧客ページには担当者とのコミュニケーション履歴や次回アクション予定なども記録しておき、フィルター機能で「○日以上コンタクトがない顧客」を抽出するといった使い方も可能です。これにより「どの顧客にいつフォローすべきか」が一目で分かり、漏れのない継続アプローチによって商談機会の損失を防げます。また、必要に応じて顧客データベースと他のデータベースを関連付けることもできます(例:顧客と紐づく案件リストや問い合わせ対応履歴のデータベースをリンクするなど)。このように柔軟なカスタマイズ性と情報の一元化によって、Notion上で自社に最適なCRM基盤を構築できるのが大きな魅力です。
ユースケース②:営業パイプライン・案件進捗管理
次に、営業プロセスの進捗(パイプライン)管理へのNotion活用です。顧客情報を管理できたら、各商談が今どのフェーズにあるかをチームで共有し、案件ごとの進捗状況と売上見込みを可視化しましょう。Notionのデータベースはビューを切り替えることでカンバンボード(看板)にもなり、案件管理にうってつけです。
カンバンボードで案件ステータスを管理
案件ごとに1ページを割り当てた「案件データベース」を作成し、ボードビューで商談のステージ管理を行います。ステージは「アプローチ中」「提案済み」「交渉中」「受注(Won)」「失注(Lost)」など自社の営業フローに合わせて設定できます。各案件ページには、関連する顧客(前述の顧客データベースと関連付け)、担当営業、提案金額、確度(見込み度)、次回アクション予定日などをプロパティとして登録します。こうした案件ボードを使えば、現在どの案件がどのフェーズにあり、合計いくらの商談パイプラインが積み上がっているかをひと目で把握できます。案件データベースに見込み売上額のプロパティを持たせておけば、将来の売上予測も簡単に集計できます。また、ドラッグ&ドロップでカード(案件)を別のステージ列に移動するだけで進捗更新できるため、営業会議のたびにExcelを編集したり報告資料を作ったりする手間も省けます。ステータスがリアルタイムで共有されることで、属人的な案件管理を防ぎ、関係者全員が状況を客観的に把握しやすくなります。
進捗共有とフォロー体制の強化
案件ボードは営業チーム内だけでなく、マーケティングや経営陣とも共有することで組織全体の見える化ツールになります。たとえばマーケティング部門はこのボードを見ることで、「どのリードが商談化しているか」「どのフェーズで停滞している案件が多いか」といった状況を把握できます。必要に応じてマーケ施策側から追加支援(例:特定業界の案件が進まないなら該当業界向けのセールス資料を作成する、など)を打つことも容易になります。さらに各案件ページ内に打ち合わせメモや見積書ファイルを添付しておけば、担当者以外も経緯を追えるため、急な担当交代時でもスムーズに引き継ぎ可能です。このようにNotion上で案件情報と進捗を一元管理・共有することで、日報や進捗会議に頼らずとも常に最新状況をチームで把握できる状態を実現できます。
ユースケース③:ナレッジ共有(営業・マーケ資料の一元化)
営業・マーケティング部門の生産性を上げるには、部門内外で知識や資料を共有しやすくすることが不可欠です。Notionは社内Wikiやナレッジベースとしても優れており、分散しがちな情報資産を集約できます。特に新人メンバーのオンボーディングや、部門間での情報連携をスムーズにするうえで、単一の情報源(Single Source of Truth)となるNotionのWikiは大きな威力を発揮します。
営業チームのナレッジWiki活用
営業現場で必要とされる各種ドキュメント類をNotion上にまとめておけば、誰でも必要なときに最新資料を閲覧できます。例えば製品・サービスに関する詳細情報、提案トークスクリプト、価格表や提案書テンプレート、競合比較表、FAQなど、営業に必要なドキュメント類を「セールスWiki」としてNotionに一元管理します。情報がアップデートされた際はそのページを編集するだけで即座に最新版を共有できるため、メンバーは常に最新情報に基づいて営業活動が行えます。特に製品知識や提案トークなどは定期的な更新が必要ですが、Notion上であれば変更履歴も残りつつ全員がリアルタイムで更新内容を把握可能です。蓄積されたナレッジは新人営業の育成にも役立ち、属人的な経験知をチーム全体の財産にできます。
マーケティング資料の共有とコラボレーション
マーケティング部門でも、Notionで情報共有基盤を作るメリットは大きいです。たとえばブランドガイドライン、顧客ペルソナ資料、過去のキャンペーン結果レポート、コンテンツ制作ガイドなど、マーケ担当者が持つ知見や資料をNotion上に蓄積しておけば、営業を含む他部門も自由に参照できます。営業はマーケ発信の最新コンテンツ(ブログ記事やホワイトペーパー等)を把握した上で顧客提案に臨めますし、マーケ側も営業現場の声をページ内コメント機能で集めることができます。さらに、マーケティングカレンダー(後述)やキャンペーン計画ページを共有しておけば、「いつ・どんな施策が走っているか」を営業チームもリアルタイムに把握可能です。部門間で戦略と知識を共有し合うことで、営業とマーケが一体となって効果的にリード育成・顧客エンゲージメントを高めていけるでしょう。
ユースケース④:施策・プロジェクトの管理(マーケティング業務)
マーケティングチームでは、キャンペーン企画やコンテンツ制作など様々なプロジェクトが常に進行しています。Notionはこれらマーケティング施策のプロジェクト管理にも威力を発揮します。実際、Notion公式が提供するテンプレートにも「キャンペーン計画」「コンテンツカレンダー」などマーケティング向けのものが多数用意されており、これらを活用することで戦略を強化しつつ業務効率化が図れます。
キャンペーン計画とコンテンツカレンダー管理
マーケティング施策の代表例として、キャンペーンの計画・管理があります。Notion上でプロジェクト用ページを作成し、目的・ターゲット・KPI・スケジュールなどを整理しておきます。さらにタスク管理データベースをリンクし、キャンペーンに関連するToDo(例:「LP作成」「メール配信設定」「効果測定」など)をチームメンバーに割り当て、進捗状況を追跡できます。カレンダービューを使えばコンテンツカレンダー(Editorial Calendar)を構築できるため、ブログやSNS投稿などのスケジュールを一望可能です。例えば、「〇月〇日にホワイトペーパー公開」「△月△日にウェビナー開催」などコンテンツ予定をカレンダーに登録し、営業チームにも閲覧権限を与えておけば、営業側はその日程に合わせたアプローチ計画を立てることができます。プロジェクトページには関連ファイル(画像素材や原稿)を添付したり、タスク担当者同士でディスカッションした履歴を残したりできるため、メールやExcelでの煩雑なやり取りを減らし一つのスペースでプロジェクトを完結できます。
マーケ施策の効果測定とナレッジ蓄積
各施策が完了したら、その結果や学びをNotion上に記録してナレッジを資産化しましょう。例えばキャンペーン結果の振り返りページを作り、KPIの達成状況や得られた知見(「〇〇の訴求は反応が良かった」「△△のターゲティングはリード獲得単価が高かった」等)を文章やグラフでまとめます。Notionなら画像や表も自由にレイアウトできるため、レポート作成ツールとしても優秀です。過去の施策データベースを作成して蓄積しておけば、次回以降の企画立案時に検索して参考にできますし、新メンバーも過去の経緯を学習できます。このようにPDCAサイクルを記録・共有することで、マーケティング施策の精度向上と属人化防止につながります。
他のSFA/CRMツールとの使い分け・連携
Notionは柔軟で使いやすい反面、専用のSFA(営業支援)やCRMシステムと比べて自動集計・分析機能などが限定的です。そのため、既存の営業支援ツールやマーケティングツールとの使い分けや連携も検討すべきポイントです。
まず、SalesforceやHubSpotなどの本格的なCRMは、リード管理から顧客分析まで高度な機能を備えています。例えばSalesforceであれば商談管理やワークフロー自動化など圧倒的なスケーラビリティを持ちますが、エンタープライズ向けのためコストもかなり高額です。一方でNotionは必要な機能をチームが自分たちでカスタマイズして作り込める点が魅力です。専用ツールほどの高度なレポート機能はありませんが、その分操作が直感的で現場に定着しやすく、中小規模のチームであればNotionだけで十分CRM代替になるケースも多いです。実際、「まずはSaaSのCRMを契約するほどではないがExcel管理の限界を感じている」という場合に、NotionでライトなCRM運用を試してみる企業も増えています。
さらに、Notionは他ツールとの連携も柔軟に行えます。公式の連携機能や外部サービス(Zapierなど)を使えば、SalesforceやマーケティングオートメーションからNotionにデータを自動取り込みすることも可能です。例えばZapierを使うことでSlack・Jira・Salesforceなど数千種類のアプリから情報を自動でNotionデータベースに集約できます。新規リードが発生した際にNotionの顧客DBに自動追記したり、商談ステージの変更に応じてSlack通知を飛ばす、といった連携もノーコードで実現可能です。このようにNotionをハブに他システムとデータ連携することで、各種ツールに点在する情報を一本化し、チーム全体の情報共有ロスを減らせます。
要件に応じて「Notionで柔軟性の高い情報基盤を構築しつつ、必要に応じて専門ツールの機能も組み合わせる」のが賢い使い方と言えるでしょう。例えば顧客とのメール配信やWebトラッキングはマーケティングオートメーションに任せつつ、その結果得られたリード情報や分析結果をNotionに集約してチームで共有する、といった運用も考えられます。Notion自体も進化を続けており、今後公式にSalesforceやTeamsとの連携機能が強化される予定との発表もあります。こうしたアップデートも活用しながら、自社にとって最適な形でNotionと他ツールを併用していくことが大切です。
まとめ:Notionで営業・マーケ業務をアップデートしよう
営業・マーケティング部門でのNotion活用法として、顧客管理(簡易CRM)、案件進捗の見える化、ナレッジ共有(社内Wiki)、プロジェクト管理など、現場の様々なニーズに応じた使い方を紹介しました。Notionを情報ハブとして活用することで、冒頭で挙げたような「情報が散在して探せない」「属人的なノウハウが共有されない」といった課題を解消し、チーム全員が最新情報を共有しながら迅速に動ける環境を整えることができます。特に営業とマーケティングの連携が重要な現在、両部門の情報基盤を一体化できるNotionは強力な武器となるでしょう。
もちろん、自社に最適な活用方法は業種やチーム体制によって異なります。「うちの規模でもNotionでうまく管理できるだろうか」「既存の○○というツールと併用したいが連携方法を知りたい」といった疑問がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。Notionの正規パートナーである当社が、貴社の営業・マーケティング業務に合わせたNotion導入支援や活用テンプレートの提供を行っています。この記事をきっかけに、ぜひNotionを活用して営業・マーケティングの生産性向上とナレッジ蓄積を実現してみてください。お問い合わせをお待ちしております。