Notion とSharePoint: 社内ポータルとしてどちらを選ぶべきか

- 執筆者
-
aslead編集部
こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。
はじめに
社内ポータルは社員間の情報共有やコラボレーションを円滑にするための重要な基盤です。近年のDX推進やリモートワーク拡大に伴い、社内ポータルの重要性はますます高まっています。社内ポータルを構築するツールとして昨今注目されているのが「Notion」と「SharePoint」です。それぞれ特長や得意分野が異なり、企業のニーズに応じて適切なツールを選定することが重要です。本記事では、IT部門や情報システム担当者の方向けに、NotionとSharePointの特徴や活用領域の違いを比較します。操作性、検索性、モバイル対応、アクセス制御、Microsoft製品との親和性などの観点から両者を評価し、適材適所で使い分けるポイントを解説します。最適な社内ポータル選びの参考になれば幸いです。
Notionとは?
Notion(ノーション)はクラウドベースのオールインワン型ワークスペースです。ドキュメント作成からデータベース管理、タスク管理まで一つのプラットフォームで行える柔軟性が特長で、社内Wikiやナレッジベースとして活用されています。直感的な操作性を備えており、ドラッグ&ドロップでページを構築できるなどユーザーライクなUIが魅力です。プログラミング知識がなくても手軽にコンテンツ作成が可能で、テンプレートも豊富に用意されています。リアルタイム共同編集やコメント機能によってチームでのコラボレーションを支援します。更新は即座に全員に共有されるため、情報共有のハブとしても機能します。料金プランはフリーからエンタープライズまで複数あり、小規模チームから大企業まで規模に応じて利用できます。手軽に試用・導入しやすい点も評価されています。
SharePointとは?
SharePoint(シェアポイント)はMicrosoft社が提供するクラウド型の企業向け情報共有プラットフォームです。Microsoft 365スイートの一部として位置づけられ、イントラネット(社内ポータル)構築や文書管理に古くから活用されてきました。コンテンツ管理や共同編集機能に優れ、Officeドキュメントの共有・編集を安全に行えるのが強みです。社内報・掲示板からドキュメントライブラリまで一元管理でき、組織内の公式情報発信基盤として多くの企業で導入されています。Microsoft製品だけあり、ExcelやWord、Teamsとのシームレスな連携が可能です。例えば、SharePoint上のファイルをそのままOfficeで開いて編集したり、Teamsと連動させてポータル上の情報を通知するといったことが容易にできます。セキュリティや権限管理も充実しており、企業ごとの細かなアクセス制御が可能です。通常はMicrosoft 365のライセンスに含まれているため、既にMicrosoft環境を利用している企業であれば追加コスト少なく導入・展開できます。
NotionとSharePointの主要比較ポイント
操作性
Notionの操作性: シンプルで分かりやすいUIにより、初めて使う人でも直感的に扱えます。ドラッグ&ドロップやMarkdownライクなエディタでページ作成ができ、学習コストが低いです。画面構成も洗練されており、必要な情報にすぐアクセスできます。カスタマイズもページ単位で柔軟に行え、ユーザーが思い思いのレイアウトで情報発信可能です。SharePointの操作性: 最新のSharePoint OnlineではUIがモダン化し、コード不要で使えるテンプレートやパーツが提供されています。ただし、社内サイト全体の構築・構成にはある程度のIT知識や設計が必要で、初期設定やサイト構造の理解に時間を要する場合があります。一般ユーザー向けの文書編集はOfficeライクで親しみやすい一方、サイト管理者にとっては機能が多岐にわたる分やや複雑さを感じることもあります。
検索性
Notionの検索性: ワークスペース内のページやデータベースを横断してキーワード検索できます。フィルターやタグを活用した絞り込みも可能で、必要な情報に比較的素早く到達できます。ただし、大量のドキュメントがある場合の高度な検索や、社内の別システムを含めた統合検索は苦手です。最近ではNotion AIによるコンテンツ提案や要約機能も登場し、検索補助に活用できるようになっていますが、基本的には部署内・チーム内規模での情報検索に適した機能と言えます。
SharePointの検索性: Microsoftのエンタープライズ検索基盤を活用しており、社内ポータル全体で高度な検索機能を提供します。サイトやライブラリをまたいで組織内のあらゆるドキュメントを索引化し、キーワードに応じて関連性の高い結果を表示します。Office文書内のテキストもOCR検索でき、過去の社内報やファイルにも容易にアクセス可能です。検索スコープや権限による結果の出し分けなど企業規模でのナレッジ探索に強みを持ち、必要な情報を見逃しません。
モバイル対応
Notionのモバイル対応: Notionはスマートフォンやタブレット向けに専用アプリ(iOS/Android)を提供しており、外出先でもページの閲覧・編集が可能です。モバイルでもPCとほぼ同じ感覚でノートやデータベースを参照でき、リアルタイム同期で常に最新情報にアクセスできます。ただし、細かなレイアウト編集や長文の作成はモバイル画面ではやや操作しづらく、PCでの作業に比べると効率が落ちる場合があります。軽微な確認やコメント対応といった用途に適していると言えます。
SharePointのモバイル対応: SharePointもモバイルアプリおよびモバイルブラウザに最適化されたインターフェースを備えています。SharePointアプリではニュースフィードやサイト、ドキュメントライブラリに簡単にアクセスでき、社内のお知らせをスマホでキャッチアップ可能です。サイトデザインによってはレスポンシブ対応が必要ですが、Modernサイトであれば標準でモバイル表示に対応します。また、Microsoft Teams経由でSharePoint上のコンテンツを閲覧・編集するといった使い方もでき、モバイル環境下でも社内ポータルの情報に容易にアクセスできます。
アクセス制御
Notionのアクセス制御: ワークスペース内でのページ毎に閲覧権限や編集権限を設定できます。社内メンバーの他、ゲストユーザーを招待したり、公開リンクを発行して閲覧のみ許可することも可能です。ただし、権限設定の粒度は比較的シンプルで、例えば企業の人事情報だけ特定部門に見せるといった複雑な権限構成には工夫が必要です。Active Directoryとの連携による組織のユーザー/グループ管理は標準では備えておらず、企業規模で厳密なアクセス統制をしたい場合はやや心許ない面もあります。
SharePointのアクセス制御: エンタープライズ向けに設計されており、非常にきめ細かな権限管理が可能です。Microsoft 365のユーザーアカウント(Azure AD)と連携し、サイト単位・フォルダ単位・ファイル単位で閲覧権限や編集権限を細かく設定できます。部署ごとのサイトを作成し関係者のみにアクセスを限定する、機密ファイルには特定の管理職だけアクセス可とする、といった企業ポリシーに沿った制御が柔軟に行えます。権限継承の概念やグループ管理も備えており、大規模組織で多数のユーザーが利用する場合でもスケーラブルに対応できます。
Microsoft製品との親和性
NotionのMicrosoft製品連携: Notion自体はMicrosoft製品ではないため、Officeファイルの直接編集やTeamsとのネイティブな統合といったことはできません。ただし、OneDrive上のファイルのリンクをNotionページに埋め込む、Outlook予定表を埋め込むなど、外部コンテンツをページ内に表示することは可能です。またZapierやAPIを介してOutlookメールやTeamsメッセージと連動したタスク管理を行うなどの工夫もできますが、どうしても一手間かかる印象は否めません。Microsoft環境との親和性という点では、Notionは単独のツールとして動作し、Microsoft製品とは切り離して使う場面が中心となります。
SharePointのMicrosoft製品連携: Microsoft 365との親和性は抜群で、同じプラットフォーム内のサービスとしてシームレスに連携します。例えば、SharePoint上に保存したExcelやWordはブラウザ上でそのまま編集でき、その編集内容は即座にSharePointに反映・共有されます。TeamsのチャネルにSharePointサイトをタブ表示してポータル情報を共有したり、Outlookの社内通知メールにSharePointのニュース投稿を埋め込むことも容易です。さらに、Power Automateを使ってSharePointを起点にワークフローを自動化したり、Power AppsでSharePointリストのデータ入力フォームを作成するなど、Microsoftの他サービスとの統合により利便性を飛躍的に高めることができます。既にMicrosoft製品を業務で多用している組織にとって、SharePointは自然に溶け込む選択肢と言えるでしょう。
カスタマイズ性・拡張性
Notionのカスタマイズ性: Notionはユーザー自身がページを自由にデザインできる柔軟性があります。見出しや表、画像埋め込み、ToDoリスト、データベースなど豊富なブロックを組み合わせ、自社に合った情報整理術を実現できます。テンプレート機能も充実しており、社内ポータル用のページテンプレートを用意すれば統一感を持たせることも可能です。ただし、システム全体の拡張という意味では、Notion自体にプラグインを入れて機能追加…といったことはできません。高度なカスタマイズはAPI経由で外部アプリと連携する形になります。基本的にはNotionが用意した範囲内の機能で十分に完結できる設計で、シンプルさと柔軟さのバランスが取られています。
SharePointのカスタマイズ性: SharePointは企業向けプラットフォームらしく拡張性が非常に高いです。標準でもWebパーツを組み合わせてポータルページをレイアウト可能で、社内ニュース、イベントカレンダー、FAQ、ドキュメント一覧など様々なコンテンツを配置できます。さらに要件に応じて、Power Automateで承認フローを作成したり、独自のスクリプトやSPFx(SharePoint Framework)を用いてカスタムアプリケーションを組み込むこともできます。一方で、これらを駆使するには専門知識や開発リソースが必要となる場合もあり、小規模なカスタマイズならともかく、大規模開発になるとコストや工数がかかります。自由度は高いものの玄人向けとも言え、要件に応じて取捨選択が必要です。
セキュリティとコンプライアンス
Notionのセキュリティ: Notionはクラウドサービスとしてセキュリティにも配慮しています。通信の暗号化やデータセンターの信頼性など基本的な対策は講じられており、エンタープライズ向けにシングルサインオン(SSO)や監査ログ機能も提供されています。ただし、データの保管場所を細かく指定したり、情報統制ポリシーを細かく設定するといった高度なコンプライアンス要件への対応力は限定的です。また、社内の情報統制ルールに合わせたワークスペース管理(例えば一定期間経過した情報の自動削除など)は、標準機能ではカバーしきれない部分もあります。中小規模の情報共有には十分ですが、厳格な業界規制や内部統制が必要な領域では補完策が必要になるでしょう。
SharePointのセキュリティ: SharePoint(特にSharePoint Online)はMicrosoftのクラウド基盤上で動作しており、企業向けの高度なセキュリティ機能を備えます。データは信頼性の高いAzureデータセンターに保管され、各種認証・暗号化技術によって保護されています。さらにMicrosoft 365には情報漏えいを防ぐDLP(データ損失防止)ポリシー設定、コンプライアンスセンターによる監査・eDiscovery、データ保持ポリシーの設定など、大企業のガバナンス要件に応える機能が統合されています。SharePoint上の機密情報に対して閲覧制限+社外転送の禁止を徹底する、一定期間更新のないサイトを自動アーカイブするといったことも設定可能です。オンプレミス版SharePointを選べば社内サーバーにデータを置くこともでき、業種・業態に応じて必要十分なセキュリティ対策を講じることができます。
導入コスト・運用負荷
Notionの導入コスト: Notionは基本機能を少人数で試せるフリープランがあり、本格利用する場合でもユーザー数に応じた月額課金制でコストを把握しやすいです。小規模チームであれば低予算で導入可能で、追加機能が必要になれば上位プランに切り替える柔軟性もあります。またクラウドサービスのためサーバー等の初期投資も不要です。
SharePointの導入コスト: SharePoint Onlineは単体プランもありますが、多くの場合はMicrosoft 365のサブスクリプションに含まれて提供されます。既に社内でMicrosoft 365を利用中であれば追加費用なしでSharePointを活用できるケースも多いでしょう。新規に導入する場合でも、他のOfficeアプリやメールも含めて統合環境として整備できるため、総合的な費用対効果は高いです。ただし、SharePointの本格運用には初期構築やユーザー権限設計などにIT部門の対応が必要であり、運用管理の負荷も多少かかります(特にオンプレミス版の場合はサーバー管理コストが発生)。一方、Notionは現場主導でも導入しやすい反面、SharePointは組織全体のIT基盤として計画的な導入が求められる傾向があります。企業規模やITリテラシーに応じて、必要なコストと労力を見積もることが重要です。
NotionとSharePointを適材適所で使い分けるポイント
Notionが適しているケース
スモールスタート・現場主導で始めたい場合: 導入のハードルが低く、現場の部署やチーム単位で素早く情報共有基盤を作りたいときにNotionは最適です。IT部門に大きく頼らずとも利用開始できるため、スタートアップや小規模組織、またプロジェクト単位でのナレッジ管理に向いています。
直感的な操作性を重視する場合: 従業員のITリテラシーに差がある場合や、まずは使ってもらうことを優先したい場合、Notionの分かりやすいUIは定着促進につながります。マニュアルなしでも触れるシンプルさは、情報発信者・閲覧者双方にメリットです。
柔軟な情報整理やクリエイティブな表現を求める場合: 決められたフォーマットではなく自由な発想でページを作りたい、プロジェクトごとに異なるレイアウトで情報をまとめたい、といったニーズにはNotionの方が応えやすいです。デザイン性の高い社内Wikiを作成したい場合にも適しています。
他社製品とのしがらみが少ない環境: 社内でMicrosoft 365を使っていない、もしくは特定のプラットフォームに依存しない形で情報共有ツールを選定したい場合、Notionは独立したサービスとして導入できます。既存システムとの統合要件が少ない企業では、Notionのシンプルさが逆にマッチするでしょう。
SharePointが適しているケース
既にMicrosoft 365環境が整っている場合: 社内で日常的にOutlookやTeams、Officeを使っている企業では、SharePointを導入することでこれらと統合された統一的なデジタルワークスペースを実現できます。従業員は慣れ親しんだMicrosoftのUIでポータルを利用できるため抵抗感が少なく、シングルサインオンによる認証統合で利便性とセキュリティを両立できます。
情報統制や権限管理が厳格に求められる場合: 部署ごと・役職ごとに閲覧可能な情報を細かくコントロールしたい、機密情報の取り扱いに社内規定がある、といった企業ではSharePointのきめ細かなアクセス制御が力を発揮します。また監査ログやコンプライアンス機能も必要な場合、Microsoftプラットフォーム上のSharePointであれば安心感があります。
大量のドキュメント管理・社内コンテンツ資産がある場合: 社内規程やマニュアル、ナレッジ記事など数千~数万単位のコンテンツを組織的に蓄積・活用したいケースでは、SharePointの方が適しています。フォルダ構造やメタデータによる分類、大規模検索機能などエンタープライズ向けの文書管理に耐えうる設計となっているためです。逆にNotionはコンテンツが増えすぎると整理が難しくなる場合があります。
業務フローの自動化や他システム連携を重視する場合: 社内ポータルを情報閲覧の場にとどめず、稟議書の回覧や申請処理など業務プロセスと結びつけたい場合、SharePointは有力です。Power Automateで承認フローを構築したり、他の基幹システムと連携して情報を集約するハブとして機能させることができます。将来的に社内ポータルをDX基盤として発展させたい企業では、拡張性の高いSharePointがフィットします。
場合によっては、NotionとSharePointを併用するといった選択肢も考えられます。例えば、部署内のコラボレーションにはNotionを使いつつ、全社公式の情報発信基盤はSharePointで構築する、といった使い分けです。ただしツールが増えすぎると管理が煩雑になるため、明確な役割分担のもとで併用することが望ましいでしょう。
まとめ
NotionとSharePointは一見似た「情報共有ツール」ではありますが、その志向する用途や得意分野は大きく異なります。Notionは手軽さと柔軟さで現場レベルのナレッジ共有に適し、SharePointは組織全体の公式ポータルやドキュメント管理に強みを発揮します。本記事で取り上げた操作性・検索性・モバイル対応・権限管理・他ツールとの連携などの観点を踏まえ、自社の目的に合った方を選択することが重要です。ツール選定にあたっては「自社の規模」「既存のIT環境」「ユーザーのITリテラシー」「セキュリティポリシー」「将来的な拡張性」などを総合的に検討しましょう。どちらか一方が常に優れているわけではなく、まさに適材適所で使い分けることがポイントです。当社ではNotionの導入支援サービスを提供しています。 社内ポータル構築の豊富な実績を持つプロフェッショナルが、活用のアドバイスから実装、運用サポートまで一貫してお手伝いいたします。どちらを選ぶべきかお悩みの場合や、両ツールの活用について詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社に最適な社内ポータル環境の実現をサポートいたします。