ITガバナンスとは?定義と構成要素、実践方法をわかりやすく解説
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aslead編集部
こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。
業務の効率化や働き方改革のために、社内のDX化や新たなITシステムの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
ITの活用によるDX化に欠かせないのが、「ITガバナンス」です。
この記事では、ITガバナンスと何か、その定義や構成要素、実践方法についてわかりやすく解説します。
ITガバナンスとは
ITガバナンスとは、ITシステムの利活用を最適化するための組織的な仕組みのことです。
経済産業省が公表している「システム管理基準(令和5年4月26日改訂)」において、ITガバナンスは、以下のように定義されています。
” IT ガバナンスとは、組織体のガバナンスの構成要素で、取締役会等がステークホルダーのニーズに基づき、組織体の価値及び組織体への信頼を向上させるために、組織体における IT システムの利活用のあるべき姿を示す IT 戦略と方針の策定及びその実現のための活動である ”
ITガバナンスは、経営陣が主体となって取り組むべき、コーポレートガバナンスの一種です。
ITを利活用するにあたって起こり得るリスクを未然に防ぎ、健全かつ戦略的な運用ができるよう監視・統制する仕組みをつくるなど、企業としての信頼を向上させるための活動を指します。
ITガバナンスが広く注目されるきっかけになったのは、2002年4月に発生した、みずほ銀行の大規模なシステム障害だと言われています。
システム統合の際のテストが不十分だった等の理由から、大規模なシステム障害が起こり、全国にあるATMが利用できないといったトラブルが発生しました。
このトラブル以降、多くの企業がITガバナンスの重要性に気づき、実現に向けて取り組む動きが見られるようになっています。
また現在では、システム障害などの起こり得るリスクを未然に防ぐという目的だけではなく、サステナブル経営や企業優位性強化などを目的として、ITガバナンスを重要視する企業も増えています。
ITガバナンスの構成要素
ITガバナンスを実践する組織体には、下記5つの構成要素があります。
- CIO(情報統括役員)
- 委員会(IT戦略委員会、プロジェクト運営委員会等)
- IT部門
- 利用部門等
- ITエコシステム
参考:経済産業省「システム管理基準(令和5年4月26日改訂)」
ITガバナンスを実現するには、専門的知識を有するCIO(情報統括役員)を指名したうえで、組織体制を整える必要があります。
また、委員会や社内に設置されるIT部門だけでなく、利用部門等においてもITガバナンスを実践する意識を持つことが重要だと言えるでしょう。
ITエコシステムとは、他の組織と利用する共通のデジタル基盤やITサービス等のことです。
つまり、ITガバナンスは、外部サービス提供者や外部委託先、顧客など、ステークホルダーとの関係性も意識したものでなければいけません。
ITガバナンスの実践方法
続いては、ITガバナンスの実践方法について、具体的に説明します。
IT戦略ビジョンの策定
IT戦略ビジョンとは、企業の目的を達成するために、どのようにITを利活用するかという戦略的な方針のことです。
企業におけるITの役割と重要性を認識したうえで、達成すべきビジネス成果を設定します。
IT戦略ビジョンにはステークホルダーのニーズを反映することも重要です。
市場の変化や事業環境の変化に応じて、定期的な評価・見直しも行いましょう。
IT戦略の策定
IT戦略とは、企業における IT システムの利活用のあるべき姿のことです。
具体的には、経営陣の意図と期待を明確にした「ITガバナンス方針」や実践までの具体的な計画を示した「IT基本計画」などを策定します。
ITガバナンス方針には、ITガバナンスの体制や投資に関する方針、リスクマネジメント、技術の陳腐化に対処するための方向性などを盛り込みましょう。
IT基本計画には、現在または将来に向けたニーズへの対応方法、ITエコシステムの選定基準などを盛り込み、目標達成に向けた活動を明確にします。
ITパフォーマンスの評価
企業のITガバナンスにおいては、社内のITパフォーマンスが、策定したIT戦略やコンプライアンス上の義務を果たしているかどうかを、定期的に評価することも重要です。
ITパフォーマンスの状況を随時確認することはもちろん、重大な違反があった場合は、随時、取締役会に報告されるプロセスが整備されていなければいけません。
情報開示と責任の明確化
ITガバナンスの最終的な責任は、取締役会にあります。
ITの利活用における実行責任および説明責任を明確化したうえで、IT戦略に関する情報開示を行い、透明性を確保することが、企業の社会的責任の一つと考えられています。
ITガバナンスとITマネジメントの違いと関係性
ITガバナンスと混同されやすい用語の一つに、「ITマネジメント」があります。
ITガバナンスは、企業における IT 戦略と方針の策定及びその実現のための活動を指す用語ですが、ITマネジメントとは、企業のIT戦略を理解したうえで、適切なIT環境の構築および維持するための活動を指します。
つまり、企業の信頼向上を目的として、IT技術を「どのように活用していか」を考えるのがITガバナンス、「どのように管理していくか」を考えるのがITマネジメントです。
企業のDX化においては、ITガバナンスとITマネジメントはどちらも必要不可欠です。
いくら戦略や方針が完璧であっても、マネジメント体制がずさんな場合、大規模なシステム障害や顧客情報などの問題が起きてもおかしくないからです。
ITマネジメントは、取締役会から任命されたCIO(情報統括役員)が統括するのが一般的ですが、組織の規模によってはCEOが自ら統括する場合もあります。
業務の効率化や働き方改革のために、社内のDX化や新たなITシステムの導入を検討する場合、ITガバナンスおよびITマネジメントの両方がともに重要であることを理解しておきましょう。
ITガバナンスは企業の持続的な成長に不可欠!構築支援はasleadにご相談ください
ITガバナンスは、企業の信頼向上と持続的な成長に欠かせない取り組みです。
まずは社内でITガバナンスを実現するための組織体制を整備し、ITの利活用における方針や戦略を策定することから始めてみてください。
また、ITガバナンスの整備や構築には、外部サービスを活用するのも一つの方法です。
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