Atlassian Team’24 からの重大ニュース 9選
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aslead編集部
こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。
米国時間の 4月30日 (火) から 5月2日 (木)の間 、Atlassian最大の年次イベントである「Team’24」が開催されました。
この記事ではTeam’24のセッションのうち、「Founders’ Keynote」から、主要な9つのニュースをご紹介いたします。
ニュース① Jira Work Management と Jira Softwareの統合
これまで別々の製品で提供していた Jira Work Management と Jira Software は Jira として統合することが発表されました。
これは、一つのプロダクトを達成するためには多くの関係者が同じ目標に向う必要があり、ソフトウェアを完全に統合することで、より迅速に、より簡単に、全ての部門が共同して一つの目標に向かって働けることができるようになるためです。
今回の統合発表にあわせ、色々なシーンでご利用できる機能拡張がありましたので、特に有用な機能をいくつかご紹介いたします。
プラン機能の提供
PremiumとEnterpriseユーザ向けに、プランがご利用可能です。
プランによりユーザは一つのビューで異なるボードとプロジェクトの問題を追跡することが可能になります。
「Epic」「Story」の名称変更
これまでJiraでは、複数のタスクや課題を束ねるために、「Epic」や「Story」といった機能を提供してきました。
しかし、「Epic」や「Stroy」というのは非エンジニアには馴染みのない概念となり、エンジニアではない職種の方が利用するにあたって、一つの壁となっておりました。
今回「Epic」「Story」の名称を、自由に変更できる機能が追加されました。
この機能の追加により、ユーザは自分たちの言葉でタスクや課題を管理することが可能となります。
2024年10月までに全機能の統合完了を目指しており、段階的に機能の統合を進めております。
ニュース② 「loom」の正式提供
2023年10月に発表された「loom」が正式提供されます。
loomは非同期コミュニケーションを可能とするビデオメッセージングツールです。
コロナをきっかけとして、リモートワークや分散ワークなど、様々な働き方が一般的なものとなりましたが、その中で会議は常に課題であり続けました。
「loom」を利用することで、会議を迅速に録画し、説明用のテキストや図表などと一緒に、即座に共有することが可能となります。
また、動画の内容をAIでテキスト起こしを行い、要約を作成、動画とともに共有することも可能となります。
この機能を活用することで、例えば製品バグの修正作業を、より迅速に、容易に行えるようになることが期待されます。
これまではバグが発生した場合、顧客、営業、開発者と多くの関係者が同一の会議に参加するか、もしくは議事録を作成し、再現手順をスクリーンショットを織り交ぜて作成し、開発者に提供することが必要でした。
loomを使った場合、全員が同じ会議に集まる必要はありませんし、議事録の作成や、再現手順の作成も不要になります。
顧客、営業はloomで会話しつつ事象を再現します。
開発者はJiraチケットに埋め込まれたloomのリンクを元に会議内容を確認しますが、loomは会議の内容を自動で文字起こしから要約まで行っております。
そのため、関係者全員が会議に参加することなく、また、議事録の作成や、再現手順の作成をすることなく、容易に開発者にバグの情報を伝えることが可能となります。
このように、loomを使うことで、すべてのチームメンバが一つの会議に参加しなくても、会議に参加したのと同じ情報を容易に共有することができるようになります。
こちらは2024年7月時点ではベータ版のみの提供となっており、正式公開時期未定となっており、近日公開予定となっております。
ニュース③ Confluenceの機能強化
Confluenceにも大幅な機能追加が施されております。
主にAIを活用した機能強化が行われており、検索機能の向上や、ホワイトボードに記載された内容からページを自動作成することなどできるようになっております。
Unified Search機能の提供
これまでは検索を行うと、製品内でのコンテンツのみ、検索することが可能でした。
今回提供されるUnified Search機能を利用することで、全ての製品を横断してコンテンツの検索を行えるようになりました。
検索アルゴリズムの改善
元々、コンフルエンスには強力な検索機能が追加されておりましたが、今回さらにアルゴリズムの大幅改善を行い、より一層、検索がしやすくなりました。
特徴的な点としては、最近修正されたものを検索の上位に持ってくるようになったことで、利用者が見たいコンテンツが検索結果の上位に出てくるようになっております。
ホワイトボードの機能強化と、Jira Inteligenceの統合
ホワイトボード上でAIを活用できるようにもなりました。
また、ホワイトボードに記載した内容を、そのままページとして起こせるようになりました。
この機能と使うことで、ホワイトボード上でテーマを入力するとAIが候補とし提案したものを元にブレーンストーミングを実施、
その結果をページとして起こし、AIを使ってプランニングを行うことで、タスクを即座に各担当者に割り振るといった使い方が可能になります。
Company HUBの提供
美麗な、独自の社内ポータルサイトのTOPページを作成することができるようになりました。
こちらは一部の機能はすでに正式提供されております。
Atlassian Intelligenceを利用した「UnifiedSearchや検索アルゴリズムの改善はすでに利用可能です。
ホワイトボードの機能強化、Company HUBに関しては、2024年7月時点で正式版は近日公開予定です。
ニュース④ Jira Product Discovery プレミアムプランの提供開始
Jira Product Discoveryはアイデアの収集と優先順位付けを行い製品ロードマップの作成を行う機能です。
このJira Product Discoveryにもプレミアムプランが提供されるようになりました。
プレミアムプランでは、プロジェクト全体の可視化や、アクセスコントロール、AIの活用が可能となっております。
こちらは現在待機リスト受け付け待ちとなっております。
こちらは2024年7月時点で正式板の提供開始時期は未定となっており、近日公開予定です。
待機リストはこちら(Jira Product Discovery Premium | Atlassian)から申し込み可能です。
ニュース⑤ CompassとOpticの提供開始
CompassとOpticと呼ばれるマイクロサービス開発を強力に推進する機能が提供されました。
マイクロサービスでの開発では、各サービス単位にチームが存在するのが一般的です。
多数のサービスチームが共同して動く必要があり、そのための管理、追跡のために開発されたものとなります。
また、あわせてOpticと呼ばれる機能も提供されました。
こちらはマイクロサービスで必要となる「API」の変更管理を行うための機能を提供します。
OpticでAPIドキュメントを検出し、Compass上に公開されます。
また、最新の変更を自動で取り込み、通知を行います。
各サービスチームはCompassとOpticを利用することで、APIの変更を容易に把握し、APIの変更に迅速に追随した開発を行えるようになります。
こちらは2024年7月時点でα版が提供開始されており、ベータ版が近日公開予定となっております。
詳細はこちら(ソフトウェア開発のための管制室「Compass」 | Atlassian Japan 公式ブログ | アトラシアン株式会社)をご確認ください。
ニュース⑥ Atlassian Guardの提供
エンタープライズに必須となる高度なセキュリティ管理機能が提供されるようになりました。
Atlassianでは2018年にAtlassianとしては初のAtlassian Cloudに特化したアイデンティティ及びアクセス管理ツールである「Atlassian Access」を提供しています。
2023年には、Atlassian Cloud上にあるデータへの脅威の検出と、対応機能を備えた「Beacon」の提供を開始しました。
今回、それらの機能を統合、強化したAtlassian Guardが公開されました。
Atlassian Guardでは、Atlassian AccessとBeaconの機能に加え、データ損失を防ぐ機能が提供されております。
Standardプランはすでに正式提供されており、どなたでも利用可能です。
Premiumプランは2024年7月現在ベータ版が提供されております。
これにより、エンタープライズでのAtlassian Cloudの利用がより容易になります。
ニュース⑦ Atlassian Intelligenceの機能強化
これまでも提供されていたAtlassian Intelligenceも、大幅な機能強化が行われております。
自動化のための各種ルールや、SQLを自然言語から生成できるようになりました。
また、プランニング等も自然言語からプランの生成ができるようになっております。
強化されたAtlassian Intelligenceを活用することで、様々な業務の生産性向上を図ることができます。
ここでは、Atlassian Intelligenceの活用で期待されるユースケースをいくつか紹介いたします。
必要となる機能候補の一覧からテストケースの作成
「ユーザアカウントの作成」というチケットに対して、Atlassian Intelligenceに機能一覧の洗い出しを依頼すると、考えられる機能の候補を洗い出してくれます。
利用者は提示された候補を元に、過不足を追加することもできますし、Atlassian Intelligenceに必要な情報を追加で与えることでより一層的確な機能一覧を受け取ることも可能です。
自然言語での情報の検索
JiraにはもともとJQLと呼ばれる強力な検索機能が存在します。
JQLを組み立てることで必要な情報を細かく指定して取得することが可能ですが、JQLを学ぶための学習コストが必要でした。
しかし、Atlassian IntelligenceがJQLを生成できるようになったことで、自然言語でJQLを作成するのと同じ結果が簡単に得られるようになりました。
こちらはすでに正式提供されており、どなたでも利用可能です。
ニュース⑧ Atlassian Rovoの提供
Atlassian Rovoとは、Atlassian Intelligenceを元に開発された画期的なAIアシスタントです。
AIが必要な情報を「見つける」、見つけた情報を「学習する」、学習した内容を元に「行動する」といったことが可能になります。
必要な情報を「見つける」
AIがサードバーティ製アプリや、自社カスタムシステムを含むデータ、ツール、プラットフォームを横断で検索し、必要な情報を検索して見つけます。
また、見つけた情報はAtlassian製品に閉じた範囲でコンテキストを解釈し、関連付けが行われます。
見つけた情報を「学習する」
見つけた情報で「学習」した情報を持つAIとチャットで会話ができます。
そのため、検索などを行わずとも、AIチャットを活用することで、容易に自組織内の情報を見つけ、理解することが可能となります。
学習した内容を元に「行動する」
「Rovo Agent」と呼ばれる専門のエージェントを導入することで、時間のかかるタスクの処理をエージェントに任せ、プロジェクトの完了を行うことが可能となります。
例えば、マーケティングにおけるアセットの作成を行う際に、エージェントにどの様なアセットが必要かを自然言語で依頼すると、AIが必要なアセットを自動で作成、提案してくれます。
AIが作成したアセットはさらにAIに指示を出して修正も可能ですし、利用者が直接修正をすることも可能です。
さらに、AIは作成の際、ただ作るだけではなく、見つけて、学習した情報を元に、自社に最適な結果を常に返却してくれます。
こちらは2024年7月時点で待機リストの登録が開始されております。正式版は近日公開予定です。
ニュース⑨ Atlassian Universityの無償化
これにより、利用者はより一層、Atlassian製品を深く学び、利用することができます。
また、Atlassian製品を活用することで、より一層、開発生産性の向上や、生産革新を行うことが可能となります。
こちらはすでに正式提供されており、どなたでも利用可能です。
まとめ
以上9つが、今年のTeam’24で発表された内容のうち、主要なニュースとなります。
これまでは開発者向けの製品としての印象が強かったJiraですが、統合されることで、開発者以外のあらゆるチームで利用しやすい製品へなりました。
また、AIを活用することで、より一層、生産性の向上を実現することが可能となるような製品になったと感じることのできるニュースでした。
とくにAtlassian Rovoは近年話題となっているRAGをAtlassian製品だけで容易に利用できる画期的な製品となっております。
そのほか、loom を活用した新しい働き方の下での会議の削減等、様々な大きな機能が提供されております。
新しいAtlassian製品を活用した「生産性向上」や「生産革新」に興味のある方は、ぜひ、asleadにご相談ください。