【Miro事例紹介セミナーレポ】ドコモグループが実践するMiroの活用法!各チームのリアルな声に迫る!
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aslead編集部
こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。
デジタルワークスペースMiroに興味はあるけど、結局、自分の部署でどう活用するのがいいんだろう。。。とお悩みの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。このたび、「コラボレーション改善・アジャイル開発まで”Miro”で実現!」というテーマで、株式会社NTTドコモ様、NTTコミュニケーションズ株式会社様、エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社様による、Miroの活用事例についてのグループセミナーが開催されました。
当日は、ミロ・ジャパン合同会社様もご登壇くださり、弊社、NRI(野村総合研究所)の森が司会を務めさせていただきました。各部署様の課題に合わせて、Miroが様々な形で活用されていることを知り、まさに目から鱗な内容でした。全てはお伝えできませんが、特別に一部をご紹介します!
①Miroと生成AIの活用で迅速なソフトウェア開発を
株式会社NTTドコモ 経営企画部事業開発室 docomo STARTUP担当 乾様
全員が2、3割稼働で抱えるコミュニケーションコストの課題
新規事業案件用のダッシュボードを開発するプロダクトチームです。各部署から参加する約100名のメンバーが活動しており、要件定義、デザイン、実装、テストリリースデータ投入などの保守も含めて全て内製化しています。以前は、日々更新されていく情報の修正経緯が遡って見えにくい、現状把握に時間がかかる、修正イメージを文章のみで共有しようとすると、非常に分かりにくく、共有に時間がかかるなど、全員が兼務の中で、コミュニケーションコストの課題を抱えていました。
Miroに集約!コミュニケーションコストの削減
提供価値の整理、現状の分析、課題の究明、修正箇所、追加機能の構想など要件定義とデザインの議論を全てMiroに集約。重要度を色分けしたり、簡単に画像や矢印、コメント機能などを活用することで、非同期でも分かりやすいように工夫しました。Miroボードで議論が完結するようにした結果、コミュニケーションコストが削減され、全員が2,3割の稼働にも関わらずプロジェクトを進行させることができるように。
生成AIを活用し、動くコードのイメージも見える化
Miroでコラボレーションの改善しましたが、例えばボタンを押したらどうなるのかなど、Miro上だけでは動くソフトウェアのイメージの共有は難しいという課題が残りました。そこで生成AIを活用し、修正後のイメージを作成。例えば、コードのサンドボックスなどを使用すると、15秒ぐらいでコードとその実際にどうやって動いてるのかという画面まで見ることができますので、生成AI併用により、Miro上の色のイメージだけでなく、動くコードと、そしてそのコードの先の実際のが動作画面のようなものを全部見せることができるようになります。
全体設計からデザインまでをMiroで利用し、動くコードの部分は生成AIを活用することで、イメージのブレがなく、仕様の出戻りが短いと感じています。自分自身の稼働が2割ぐらいで、PMとして活動できていますので、同じようにPMをされている方への利用方法としてご紹介させていただきました。
②Miroでアジャイルチームの思考を可視化
エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 NTT IT戦略事業本部 事業企画部 企画部門 河野様
メンバー同士が何をやっているのか、何を考えているのかが見えない
アジャイル人材育成や社内のAI活用推進を担当しています。開発に従事した際はスクラムマスターを担い、リモートワークの加速と共に、メンバー間の情報や意思の共有に課題を抱えていました。さらに、見たい資料がどこにあるか分からない、アジャイル開発で発生する大量の議論をPPTで可視化させるには、枠が狭すぎるという課題もありました。
アジャイル開発にMiroを活用!チームの思考まで可視化
そこで1つのプロダクトの情報をMiro上に集約。各スクラムイベントの内容を記載。インセプションデッキなどのスプリント、開発スプリントが始まる前の準備段階、バックログアイテムの管理、ふりかえりなど、エリアごとに分けて一目で分かるように管理。決定事項だけでなく、ディスカッションした内容を残すことができ、それぞれの思考まで可視化ができるようになりました。
また、バリューストリームマップ(VSM)作成にも活用。PPTだとスペース不足が課題になりますが、無限に広げられるMiroはスペースを全く気にしなくていいため、ストレスフリーです。ズームインやアウトも簡単にできるため、ページをまたぐ必要がなく、議論が切れずに隣の資料を見ながら書いていくことができる点も気に入っています。
業務時間の削減効果10%を実感
感覚値ではありますが、資料を探す手間などは確実になくなったので、10%ぐらいは削減効果があった印象です。改善点に気づいた人がMiroボードに課題を上げていくKaizenも延べ110個以上あり、かなりの数が対応できています。チームとしてKaizenに対するマインドがついた点も非常に良かったと感じています。
③正しく鮮度ある情報発信をMiroで実現
エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 IT戦略事業本部 NTT IT戦略部グループIT戦略部門 高橋様
逐次PPT資料を更新、メールで送付…膨大な業務から抜け出したい!
NTTグループのIT戦略やITガバナンスを推進している部署で、NTT主要グループ会社のミーティングの運営なども担当しています。各部署への報告資料をPPTで作成し、メールで随時アップデートのたびに送付するという膨大な時間がかかる作業に課題を持っていました。また、情報発信の宛先の管理や過去の経緯も合わせて知りたいという要望に応えられない、多くの関連資料も共有して欲しいという要望に対応できないという課題もありました。
Miro活用により、「正しく鮮度ある情報発信」を実現
Miroボードに情報を集約し、ボードを見に来てもらうことで、そこでFBをもらうことも可能になり、鮮度が高い情報共有が可能に。メールを送る必要もないので、宛先管理の必要性も不要になり、また、過去の経緯や関連情報もMiro上に置くことで、資料を見たい、という各部署からの要望にも応えられるようになりました。
④バラバラだった情報整理を一元化!Miro導入で見えた共通活用術
エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 NTT IT戦略事業本部 新浪様、新谷様
イベント関連情報を可視化し、開発イメージも共有したい!
アジャイル開発で使われるクラウド技術の情報収集やアジャイル開発推進の活動をしており、特にアジャイル人材育成を担当しています。今までチーム内の情報はOneNoteやRedmine、Jiraなどに分散しており、必要な情報が見つけにくい状況でした。また、ドキュメント更新のハードルが高く、メンバーがなかなか更新してくれないという課題がありました。さらに、開発イメージや画面設計を共有する効果的なツールがないことも課題でした。そこで、これらの課題を解決するために、Miroの導入を検討しました。
Miroに情報をまとめることで、スクラム初心者にも分かりやすく!
Miroを導入した所、3つのチームで共通での使い方が見られました。1つ目は、イベント関連情報の可視化です。イベントに必要な情報をMiroに集約し、チームのスケジュールも一緒にすることで、初心者がイベントに集中しやすい環境づくりができました。2つ目は、プロダクト情報をチーム内で透明化することです。開発の経緯、元々の原点はなんだったのかなども、Miroボード上に置いておくことで、イベント中に簡単に確認できるようになりました。3つ目は開発イメージの共有です。文章では伝わりきらない画面設計やシステム構造をMiroで視覚的に分かりやすくすることができました。
スクラムもイベントも楽しくあったほうがいいと思っています。同様にMiroは楽しく使える点も気に入っています。
Miroのノート機能で、議事メモの悩みを解決
ファシリテーターがMiroと議事メモを両方見るのも大変ですし、更新が間に合わないということもあります。Miroのノートの機能を活用すれば書記が追い付いていない時でも他の人が追記することもでき、Miroも見ながら同時に議事メモも見られるようになるなど、スムーズに会議ができるようになりました。
JiraとMiroを連携して、タスクの見積もりをスムーズに
Teamsのチャットでタスクの見積もり共有をしていた時は、どの数字が一番多いか分かりづらい、チャットが流れてしまうという課題がありました。JiraのチケットをMiroに連携させる機能を活用することで、各自が工数見積もりを投票すると全員の結果が簡単に可視化されるようになり非常に便利になりました。
⑤文化の異なる組織が集まるプロジェクトで、コラボレーション実現
NTTコミュニケーションズ株式会社デジタル改革推進部 データドリブンマネジメント推進部門 組橋様
同期・非同期連携で、文化が異なる組織でもコラボレーション
社内システムのデータの収集、蓄積、分析を主な業務とし、約70名の組織です。数年前、複数の組織がまとまり現在の新しい組織となった際、リモートワーク主体で働き方の見直しで新しいツール選定が必要となりました。オンラインホワイトボードとして優れいていたMiroをトライアルで採用。そのまま不満もなく活用しており、現在では、社内の中でもMiroを非常に活用している組織の1つです。
複数の組織からメンバーが数名が参加し、プロダクトを改善していく新しいプロジェクトが立ち上がりました。ここでMiroを活用。ファネル分析やカスタマージャーニーなど各チームが行ってアウトプットを出し、そこに対して全員で議論するような同期的な活用。次のアクションのスケジューリング、アウトプットの場として非同期な連携にも活用できました。最終的な報告の時だけ、PPTなどを使用しましたが、それ以外は基本的に全てMiroで完結しました。ここを見れば、全ての情報がまとまって見られる、という点が良かった点です。一方で、1万を超えるオブジェクトを1つのボードにまとめていたため、非常に重くなってしまった点は少し使いずらかった点です。
部門のトップがツール使用することで、浸透が高まる
部門のトップである部門長もMiroを使用しているため、各グループの方針等の整理も、トップ自らがMiroでベースを作成したり、部門全体のキックオフにも活用しています。また、他にもモデルの設計や研修コンテンツの検討等、普段の業務から活用しております。統一したツールを決め、トップを含めた全員が使用することにより、使っていない人も自然と使用するようになり、ツール導入が自然と進んだと実感しております。
⑥Miroで始めるチームの相互理解と心理的安全性
NTTコミュニケーションズ株式会社 イノベーションセンターアジャイルCoE PJ 水嶋様
Miroを活用したチームビルディングワークショップで、チームの価値観を可視化し相互理解を深めよう!
成功プロダクトが生まれる環境づくりを目指し、プロダクトマネジメントやアジャイル等の研修、伴走支援、コーチングを行っています。その中で、アジャイルやプロダクトマネジメントと言う前に、チームのコミュニケーションの課題を解決した方が良いことがあり、チームビルディングの設計やワークショップを実施しています。
チームビルディングワークショップができるようになれば、メンバーの価値観を可視化し、チームで共有することができるようになります。コミュニケーションの心理コストは下がり、時間的コストもそのままで、チームの成果も上がる効果があるのでおすすめしています。
ステップ:
①チームで発生している議題について問いかけて、Miro上で投票してもらい意見を可視化する
②それぞれが、答えだけでなく、そう考えた背景、理由を共有する
③それぞれの考えや背景をさらに深堀。時には脱線しながら相互理解を広げる
ワークショップの効果を高めるポイント
<企画段階>
①開催する目的と期待する参加姿勢を事前に伝える
②開催日前からワクワクしてもらう
③脱線を歓迎する
④事前にNGなことを伝える
<問いかけ>
①ハードルの低い問いから始める
②互いの違いを知り、その違いを楽しんでもらう
③考えた背景・理由を話してもらう
④主催者が率先して自己開示したり、脱線しよう
これらのことを気を付けると、皆の前向きな参加の気持ちを刺激し、ワークショップがより効果の高いものになります。
まとめ
各チームの皆様が様々な工夫をこらして、課題を解決されており、大変学びの多い事例セミナーになりました。Miroの使い方も、そんな使い方をされているんだ!という驚きもあり、あらためてMiroは面白いツールだなと実感しています。Q&Aタイムでは、オンラインの方も会場の方もMiroボードに入っていただき、質問を受けたところ、率直な質問がたくさんでました。アンケートですと、中々本音が出なかったりするのですが、Miroだとその時で感じたことを考えずにすぐ書けるという利点があり、かつ付箋は無記名なのでリアルな意見が出やすいと再確認いたしました。
このような貴重なお話をお話してくださったドコモグループの登壇者の皆様に、心よりお礼を申し上げます。また、セミナー実施にあたり、様々なご支援をいただきましたミロ・ジャパン合同会社様にもお礼を申し上げます。NRIは今後もMiroのNo.1販売代理店として、皆様にMiroの有益な情報を発信してまいります。