業務改善とは?目的や必要性、具体的な進め方をわかりやすく解説

業務改善とは?目的や必要性、具体的な進め方をわかりやすく解説
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aslead編集部
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こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。

業務改善とは、企業や組織が業務プロセスを見直し、効率化や品質向上を図る取り組みのことです。
無駄な作業を削減し、コストを削減するとともに、従業員の働きやすさや顧客満足度の向上、企業の競争優位性の確立を目指します。

この記事では、業務改善の目的や必要性、具体的な進め方について、わかりやすく解説します。

目次

業務改善とは

業務改善とは

業務改善では、現状の業務プロセスを見直し、非効率なものを改善していきます。
具体的には、業務を非効率にする「ムリ」「ムダ」「ムラ」3つの削減に取り組みます。

【業務改善でなくすべき「3M」】

ムリ 設備や人数に見合わない過剰な負荷がかかっている状態
ムダ 付加価値を生み出さない無駄な作業や時間が発生している状態
ムラ 作業時間や成果にバラつきがあり、不均一な負荷がかかっている状態

業務改善の考え方にはいくつかの種類があります。

どの側面から業務改善を進めるべきかは、「業務改善の8原則」「QCD」「BPR」などを意識しながら、慎重に検討しましょう。

業務改善の8原則

業務改善の8原則とは、主に労働時間を削減し、働き方を見直すための考え方を示したものです。

業務改善を行う際、まずは、以下の8原則について考えると良いとされています。

原則 考えるべきこと
廃止
  • やらなくていい業務をやっていないか
  • 目的がない業務をやっていないか
削減
  • 業務や会議の頻度、項目、時間を減らせないか
  • 承認フローを削減できないか
容易化
  • よりシンプルなやり方に変えられないか
  • 情報を整理して判断しやすくできないか
標準化
  • 効率的でわかりやすいマニュアルが共有・実行されているか
  • 属人化が起きていないか
計画化
  • 計画的に仕事ができているか
  • 事前準備によってスムーズに進められないか
同期化
  • まとめて行うべき業務はないか
  • 待ち時間が発生していないか
分業分担
  • 業務分担について見直すべき点はないか
  • 一部の従業員に負担が集中していないか
IT化
  • アナログ業務を減らせないか
  • 自動化できる業務を手作業でおこなっていないか

日常的に行われている業務をこの原則と照らし合わせて、改善できるポイントがないかを洗い出すのが基本的な考え方です。

生産管理の「QCD」

業務改善に取り組むうえで知っておきたい考え方の一つが、「QCD」です。

QCDは、「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」という3つの要素の頭文字を取った言葉で、いずれも企業における生産性向上に欠かせないものだとされています。 

業務改善の3要素 考えるべきこと
Quality(品質)
  • 品質が低いと、製品は売れず、顧客満足度も下がってしまう
  • 業務改善によって品質が落ちてしまう可能性はないか
Cost(コスト)
  • 業務にかかる費用や時間を削減し、利益を最大化できないか
Delivery(納期)
  • 業務にかかる時間を減らし、納期を短縮できないか

業務改善に取り組むにあたっては、QCDの相互関係やバランスを考慮する必要があります。

例えば、「Quality(品質)」を改善するために高性能な最新の設備を導入したり、作業フローを増やしたりすると、製品・サービスを創出するためのコストが高くなり、利益が出にくくなってしまいます。
また、「Cost(コスト)」ばかりを意識して必要な作業フローを削減してしまうと、品質が低下するおそれがあるでしょう。

業務改革の「BPR」

業務改善で、もう一つ視野に入れておきたいのが「BPR」です。

BPRとはBusiness Process Re-engineeringの略称で、日本語では「業務改革」と訳されています。業務本来の目的に向かって既存の組織や制度を抜本的に見直し、プロセスの視点で職務、業務フロー、管理機構、情報システムをデザインしなおすリエンジニアリングという考え方です。

「ムリ」「ムダ」「ムラ」を削減する業務改善は、BPRを実現するための取り組みの一つとして捉えられています。

業務改善の目的と必要性

業務改善の目的と必要性

業務改善は、企業の持続的な成長のために欠かせない取り組みの一つです。また、従業員一人ひとりの働きやすさにも大きな変化をもたらします。

ここでは、企業が業務改善に取り組むべき理由として、3つの目的を紹介します。

労働環境の改善

業務改善によって過剰な負荷を軽減し、適切な業務分担を行うことで、従業員のストレスや過労を防ぐことができます。従業員にとって働きやすい環境を整えることにつながり、モチベーションや生産性の向上が期待できるでしょう。

また、労働環境の改善は従業員の定着率を高め、優秀な人材の流出を防ぐ効果もあります。
特に働き方が多様化する現代では、ワークライフバランスの充実を望む人が増えています。
「仕事と育児を両立させたい」「プライベートな時間を充実させたい」など、従業員の希望を叶える労働環境を構築することは、持続可能な経営のために非常に重要なことなのです。

人材不足の解消

多くの企業が直面している課題の一つに人材不足があります。

少子高齢化の進行で生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれています。

出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書

少子高齢化社会でも持続的な成長が見込める企業を目指すには、限られた人材で最大の利益を生み出すための工夫が必要です。

例えば、アナログ業務のIT化、AIやアルゴリズムによる自動化により、限られた人員でより多くの業務をこなせる仕組みを構築できれば、人手不足を補うことにつながるでしょう。

コスト削減

業務改善の目的としては、コスト削減も挙げられます。
企業の利益を最大化するためには、出来る限りムダをなくし、コストを抑えることが必要です。

企業のコストには、主に「エネルギーコスト」「オフィスコスト」「オペレーションコスト」の3つがあります。
エネルギーコストとは電気代や水道代などの水光熱費、オフィスコストとは主に設備費用や家賃、オペレーションコストとは人件費や通信費、物流費などを指すものです。

業務改善では、それぞれのコストがどのくらいかかっているのか、いくら削減できるかを見極めることも重要な要素になるでしょう。

コストを抑えて経営資源を有効活用することは、企業の収益性を高めることにつながります。

競争力向上

業務改善は、企業の競争力向上にも寄与します。

公益財団法人日本生産性本部が公表したデータによると、日本企業の競争力は、世界的に見て決して高いとは言えません。
2022年における1時間当たりの労働生産性を比較したランキングでは、OECDに加盟する38ヶ国のうちで、日本は30位という低い順位となっています。一人当たりの労働生産性を比較したランキングでも、日本の順位はOECDに加盟する38ヶ国のうち31位です。

業務改善を通じて効率的な業務プロセスを構築し、品質を改善することで、顧客に対して優れた製品やサービスを提供することができます。
また、迅速な対応力や柔軟性を持つことで、より顧客のニーズに応えやすくなり、市場での競争力を高めることにもつながります。

業務改善の進め方

業務改善の進め方

業務改善を効果的に進めるためには、体系的かつ段階的なアプローチが重要です。

ここでは、企業が取り組むべき業務改善の進め方、具体的なステップについて説明します。

STEP①:改善範囲を決める

まず初めに、業務改善の対象範囲を明確にしましょう。

どの業務プロセスや部門に焦点を当てるのかを決定することにより、リソースを集中させ、効果的な改善を実現することができます。

STEP②:業務フローを可視化する

次に、改善対象となる業務の流れを可視化していきます。

フローチャートやプロセスマップを作成すると、各業務の関係性が明確となり、どこに無駄や非効率があるかを見つけやすくなるでしょう。
それぞれの業務を誰が担当し、どのくらいの時間をかけているのかなど、できるだけ細かく把握することが重要です。

STEP③:問題点を洗い出す

業務フローの可視化が完了したら、問題点を洗い出していきましょう。
ムリ・ムダ・ムラの観点から業務を分析し、改善が必要な箇所を特定します。

従業員にヒアリングをしたり、データ分析も活用すると、どこに問題があるのかが見えてくるかもしれません。

STEP④:改善のゴールを決める

問題点が洗い出されたら、業務改善のゴールを設定します。

前述した「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」のうち、どれを優先させるのかを考えながら、着地点を決めていきましょう。

具体的かつ測定可能な目標を立てることで、改善の進捗を評価しやすくなります。

STEP⑤:改善方法の検討

業務改善のゴールが決まったら、その達成に向けた具体的な改善方法の検討に入りましょう。

ここで役立つのが、前述の「業務改善の8原則」です。
廃止・削減・容易化・標準化・計画化・同期化・分業分担・IT化の原則に基づいて、複数のアプローチを考えてみてください。
そのなかで、もっとも効果的かつ実現可能な方法を選択すると成功しやすいです。

STEP⑥:業務改善の実行

最後に、計画した改善方法を実行に移します。

業務改善はすぐに取り組みの成果が出るものばかりではありません。
なかには、長期的な視点を持って取り組むべき改善もあるはずです。

実行段階では、進捗を綿密にモニタリングし、必要に応じて調整を行いましょう。
PDCAサイクルを活用し、取り組みの成果を継続的に評価・修正することが、持続的な業務改善につながります。

業務改善の具体例

業務改善の具体例

業務改善の具体例は、以下の通りです。

  • 無駄な会議をなくす
  • 無駄な資料をなくす
  • 不要な業務をなくす
  • 紙書類をデータ化する
  • 業務をマニュアル化する
  • 業務を自動化する
  • 業務をアウトソーシングする
  • アナログ業務をデジタル化する 
  • 業務フローをIT化する など

例えば、現在行われている会議を一覧にし、本当に必要な会議なのかを検討するだけで、業務改善への一歩を踏み出せます。
また、紙書類のデータ化や業務の自動化については、ITツールを活用することで、比較的容易に実現できる場合も多いです。

株式会社野村総合研究所(NRI)のasleadでは、業務改善を目的としたシステムやITツールの導入を支援しています。

例えば、オンラインホワイトボード「Miro」は、会議の効率化や活性化、紙書類のデータ化などにおすすめのツールです。
世界中で6,500万人以上、日本でも120万人以上が利用するコラボレーションツールで、オンライン上であってもまるで対面しているかのような共同作業ができます。
議事録はもちろん、マインドマップやブレインストーミングなど、400種類以上のテンプレートがあり、議論やアイデア出しをしながら同時に資料作りができるのも魅力です。

開発現場の業務改善としては、テスト自動化ツールが注目されています。
AIテスト自動化ソリューション「Eggplant」は、テストの全工程(テスト計画、テストケース設計、開発、管理、実行、結果分析など)にAIを導入することで、自律性を高め、より効率的で正確なテストを可能としています。
従来のツールとは比較にならないレベルのバグ検出と工数削減を実現するなど、高品質なテストの実施が可能です。

業務改善は継続することが大事!ITツールも活用しよう

業務改善は継続することが大事!ITツールも活用しよう

業務改善は、企業の競争力向上や持続可能な経営のための重要な取り組みの一つです。
業務プロセスにおける「ムリ」「ムダ」「ムラ」の3つをなくし、生産性向上や労働環境の改善を目指してください。

また、業務改善を実現するには、ITツールの導入が不可欠です。
実際に、アナログ業務をIT化することで、コスト削減や属人化の解消に成功している事例も数多くあります。

株式会社野村総合研究所(NRI)のasleadでは、業務改善を目的としたシステムやITツールの導入を支援しています。選定から導入まではもちろん、現場での運用についても専任の担当者がサポートしますので、安心してご相談ください。