業務のムリ・ムダ・ムラを削減!業務変革のための第一歩、バリューストリームマッピング「VSM」とは?
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aslead編集部
こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。
業務改善や生産性向上を目指す中で、「プロセスが複雑で誰が何をやっているのか全体を理解できてない」「チーム間の連携が取れず、二重作業や手戻りが発生する」「生産性を高めたいが、どこから改善すべきかわからない」という企業が多いのではないでしょうか。
こうした課題に取り組む第一歩として、バリューストリームマッピング(VSM: Value Stream Mapping) が注目されています。VSMとは、業務全体のプロセスを可視化し、ムリ・ムダ・ムラを減らして価値を最大化するための強力なツールです。この記事では、VSMの基本とメリット、導入手順など初めての方でも分かるようにご紹介します。
VSM(バリューストリームマッピング)とは?
VSMは、トヨタ生産方式の「モノと情報の流れ図」を元に開発された、ムダを排除して全体最適化を図る手法です。業務プロセスを図解し、どの部分に無駄があるか、どこを改善すれば価値を最大化できるかを明らかにしていきます。
具体的には、まず次のような要素を洗い出します。
- 作業プロセス
- 各プロセスの所要時間
- 情報のやり取り
VSMの活用シーン
例えば、製造業では生産ラインのボトルネックを特定し、サービス業では情報伝達の遅れを発見することが可能です。他にも経理部門では請求書処理の時間短縮やミス削減、IT部門ではシステム開発プロセスの効率化など、幅広い業種で活用されています。DX推進のツールとしても注目されるVSM は、業務改善において単なる効率化にとどまらず、顧客価値の向上や持続可能な経営にも寄与します。
VSMのメリット
VSMを活用することで得られる主なメリットは以下の通りです。
1.全体像の把握
チームや部署を超えて、業務全体のプロセスが見える化され、業務連携が明確になります。VSMでは名前の通り「Value(価値)」を生み出してから届けるまでの「Stream(流れ)」を可視化するため、自身が担当している部門以外に関しても、業務に関する全てのプロセスが明らかになります。
2.課題の特定
どの作業に無駄が生じているか、どのプロセスがクリティカルパスなのか、どの工程にいつも遅れが生じているのかなどを明確にすることで、二重作業や不要なプロセスを特定し、整理できます。
3.コミュニケーションの改善
関係者を集め図解を進めていく中で、そして図解化されたマップを用いながら会話をすることで、関係者間での共通認識を持つことができます。
4.業務の属人化の排除
プロセスを見える化し、属人化している工程を特定することで、標準化を進めやすくなります。
5.顧客価値の再確認
顧客が求める「価値」の流れを可視化をするため、一部分しか見ていなかった従業員にも全体像が伝わり、価値にフォーカスした改善が可能になります。
VSMの具体的な手順
1.関係者を集め、現状のプロセスを可視化
価値を生み出してから届けるまでに関わる関係者を集めます。例えば、「ポテトチップスの生産・販売」をする工場のプロセスであれば、材料を仕入れるためのプロセスから、加工、袋詰め、出荷、在庫管理などの関連プロセスすべてを可視化します。工程と工程を繋ぐ線や、工程の中でかかる作業時間、待ち時間なども書き出します。
2.課題の特定
1で作成したValueStreamMapを見ながら、他と比べて長い作業時間になっていたり、多数の待ち時間が発生しているような部分を探します。また、手戻り率が高い工程を洗い出すことで、ボトルネックになりやすい工程を洗い出します。
3.理想の流れを描く
ボトルネックを解消し、価値を最大化する理想のプロセスを設計します。課題の解消によって工程がどのように変化するのか、影響も加味したうえで、理想像を一度描いてみましょう。そのうえで、その課題を解決すべきか否かを判断します。
5.改善の実行と評価
課題を解決するために必要なアクションプランを計画・実行します。これらの一連のプロセスは数か月に一度行い、プロセスを徐々に改善していきましょう。
VSMを始める際のポイント
初めてVSMに取り組む際は、以下のポイントを押さえることで、プロセスがスムーズに進み、成果を実感しやすくなります。
1.小規模なプロジェクトから始める
いきなり全社的な業務に適用しようとすると、範囲が広すぎて混乱を招きかねません。まずは特定のチームや業務プロセスなど、規模の小さいプロジェクトを選ぶことで、短期間での成果を得やすくなります。これにより、成功体験を積み重ねながら、徐々に適用範囲を広げることができます。
2.関係者全員を巻き込む
VSMは業務の流れを可視化する手法ですが、現場の実情に即した改善を行うには、プロセスに関わる全員の協力が欠かせません。特に現場スタッフの意見を取り入れることで、マップの正確性が向上し、改善案への納得感も高まります。また、関係者全員が同じ目的意識を持つことで、プロジェクトの推進力が強まります。
3.必要に応じて専門家のサポートを受ける
初めての取り組みでは、手法や進め方が分からずに迷うこともあります。不安な場合には、VSMに精通した専門家やコンサルタントのサポートを受けることで、見落としがちな課題を発見できたり、効果的な改善策をスピーディに導き出せる場合もあります。
最初のつまずきを乗り越えよう
VSMの最初のステップは、「現状の業務全体のプロセスを把握すること」 です。しかし、この段階で思わぬ壁にぶつかり、諦めてしまうケースが少なくありません。以下は、よくある課題とその背景です。
1.膨大な会社全体のプロセスを洗い出す際のスペース不足
すべての業務プロセスをホワイトボードや方眼紙で書き出そうとすると、物理的なスペースがすぐに足りなくなります。
2.エクセルでは全体を俯瞰しづらい
デジタルツールとしてエクセルを使うケースもありますが、情報が表形式で分断されるため、全体像を直感的に把握するのが難しいという課題があります。また、複数のエクセルの中のどこに情報が保存されているか分からなくなるという問題があります。
3.ホワイトボードでは多くの関係者との同期が困難
物理的なホワイトボードは、リアルタイムでの修正や更新が難しいため、関係者全員が最新の情報を共有するのが困難です。特にリモートワークや異なる拠点間でのコラボレーションが必要な場合、この点が大きなハードルになります。
これらの課題を解決するために、オンライン上で無制限に情報を共有できるオンラインコラボレーションツールMiroなどを活用することが重要です。Miroを活用すれば、関係者全員がどこにいてもリアルタイムで業務プロセスを確認・修正できます。
最初のつまずきを乗り越えれば、VSMの価値を実感できるはずです。まずは小さな範囲から始め、適切な環境を整えることが成功への鍵です。
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