機密情報を取り扱う官公庁や金融機関等が選ぶビジネスチャット「Mattermost(マターモスト)」とは?

機密情報を取り扱う官公庁や金融機関等が選ぶビジネスチャット「Mattermost(マターモスト)」とは?
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aslead編集部
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こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。

官公庁・地方自治体、金融機関、通信インフラ企業――

これらの組織は日々、国民の生活や経済活動の根幹を支えています。デジタル化が加速する現代において、こうした重要インフラを担う組織では、チーム間の情報連携がかつてないほど重要になっています。迅速かつ正確な情報共有が、サービスの質を左右し、ひいては社会全体の信頼に直結するからです。

しかし、情報共有ツールの導入は、一般企業が想像する以上に困難を伴います。「セキュリティ」「ガバナンス」「運用管理」という三つの壁が、常に立ちはだかっているのです。機密情報や個人情報を扱う組織にとって、チャットツールの選択を誤れば、情報漏洩や不正アクセスといった深刻なリスクを招きかねません。

本記事では、社会の根幹を支える組織が、どのようにして情報集約と業務効率化を両立させているのか、そして彼らに選ばれているビジネスチャット「Mattermost(マターモスト)」について、ご紹介します。

目次

ビジネスチャット導入に立ちはだかる「見えない壁」

業務効率化や情報共有の促進を目的に、多くの企業がビジネスチャットを導入しています。しかし、金融機関や官公庁、通信事業者といった社会インフラを担う組織にとって、チャットツールの導入は決して簡単な決断ではありません。

これらの組織が直面する最大の課題は、一般企業とは比較にならないほど厳格なセキュリティ基準とガバナンス要件です。官公庁では国民の個人情報や政策に関わる機密情報を、金融機関では顧客の資産情報や取引データを、日常的に扱っています。もし情報が流出すれば、組織の信用失墜はもちろん、社会全体に深刻な影響を及ぼしかねません。

サイバー攻撃が高度化・巧妙化する昨今、外部からの不正アクセスだけでなく、内部からの情報漏洩リスクにも備える必要があります。そのため、チャットツールを選定する際には、セキュリティレベルの高さはもちろんのこと、運用管理の容易さ、監査対応の柔軟性、既存システムとの整合性など、多様な観点から慎重に検討しなければなりません。

さらに、組織の規模が大きくなればなるほど、情報管理体制は複雑化します。誰がどの情報にアクセスできるのか、権限管理はどう行うのか、ログはどこまで取得し保存するのか。こうした運用上の細かな要件が積み重なり、一般的なクラウド型チャットツールでは対応しきれないケースが多いのが現実です。

結果として、多くの重要機関が注目しているのが、自社の管理下で運用できる「オンプレミス型」のビジネスチャットです。

セキュリティを最優先するなら「オンプレミス運用」という選択

ビジネスチャットを選ぶ際、最も重視すべきポイントは何でしょうか。使いやすさ、機能の豊富さ、コストパフォーマンス――これらも重要ですが、機密情報を扱う組織にとって、何よりも優先されるのは「セキュリティ」です。

外部事業者が提供するクラウドサービスは、確かに便利です。しかし、大切なデータを外部に預けるということは、そのデータの管理権限を相手に委ねることを意味します。サービス提供者のセキュリティポリシーや法的管轄、データセンターの所在地によっては、組織の定めた厳格な基準を満たせない可能性もあるのです。

そこで多くの機密情報を扱う組織が検討するのが「オンプレミス型」のチャットツールです。オンプレミス型とは、自社または組織内のサーバー環境にシステムを構築し、データの管理権限を完全に自社で保持する運用形態を指します。

この方式の最大のメリットは、情報の流れを完全にコントロールできることです。通信経路を自由に設定し、データの保存場所を厳格に指定できます。内部監査への対応も柔軟に行えますし、業界特有の法令や規制にも細かく対応することが可能です。また、外部サービスの突然の停止や、サービス提供者側の規約変更といった外的要因に左右されることもありません。

さらに、組織独自のセキュリティポリシーに基づいた設定が可能です。パスワードの複雑性要件、多要素認証の実装、IPアドレス制限、詳細なアクセス権管理など、高度なセキュリティ対策を自由に構築できます。これらは、官公庁や金融機関がチャットツールに求める必須要件であり、実際に多くの現場で「オンプレ運用」が推奨されている理由なのです。

なぜ多くの企業は「クラウド型」を選ぶのか?

ここまで読むと、「セキュリティに優れているなら、すべての企業がオンプレミス型を選ぶべきではないか」と思われるかもしれません。しかし現実には、市場ではクラウド型チャットツールの方が圧倒的に多く利用されています。それには、オンプレミス型が抱える構造的な課題があるからです。

第一に、初期投資と運用コストの高さが挙げられます。オンプレミス型システムを導入するには、自社サーバーの調達、設置、そして継続的な運用・保守・アップデート・セキュリティ対策まで、すべてを自社で担う必要があります。ハードウェアへの設備投資はもちろん、高度なITスキルを持つ人材の確保も不可欠です。特に中小企業や、IT部門のリソースが限られている組織にとって、このハードルは非常に高いものです。

第二に、スケーラビリティと柔軟性の問題です。クラウド型であれば、利用規模の増減や新機能の追加が迅速かつ容易に行えます。しかしオンプレミス型では、ユーザー数の増加に合わせたサーバーの増設や、システムのアップグレードを手作業で行う必要があり、事業の変化に素早く対応しづらい側面があります。

第三に、専門的な知識と運用体制の構築が求められることです。オンプレミス型システムを安定稼働させるには、24時間365日の監視体制や、高度なITスキルを持つスタッフが必要です。十分な体制を整えられなければ、かえってセキュリティが脆弱になり、リスクが増大する可能性すらあります。

そして第四に、導入までに時間がかかるという点です。クラウド型なら、アカウントを作成すればすぐに利用を開始できます。一方でオンプレミス型は、システム設計、構築、テスト、トレーニングと、実際に運用開始するまでに相当な時間を要します。

これらの理由から、多くの企業は利便性とコストのバランスを考慮し、クラウド型を選択しています。

オンプレ運用の課題を解決する「Mattermost」という答え

では、オンプレミス型のセキュリティの高さと、クラウド型の利便性を両立させることはできないのでしょうか。その答えとなり得るのが、コラボレーションツール「Mattermost(マターモスト)」です。

Mattermostは、従来のオンプレミス型チャットツールが抱えていた課題――コストの高さ、柔軟性の欠如、専門知識の必要性、導入の遅さ――を、革新的なアプローチで解決しているコラボレーションツールです。

まず、初期投資と運用コストの面での柔軟性が挙げられます。一般的なオンプレミス型製品では、高額なライセンス費用や初期設備投資が避けられません。しかしMattermostは、オープンソースで開発されており、基本機能を無料で利用できます。組織が​求める​豊富な​機能を​有する​エンタープライズ版を選択することも可能です。さらに、導入支援や運用サポートサービスを利用することで、自社のITリソース負担を適切に分散できます。これにより、予算や人材に制約がある組織でも、セキュアなチャットシステムを現実的なコストで構築できます。

次に、スケーラビリティと柔軟性の高さです。Mattermostの最大の強みは、そのカスタマイズ性と拡張性にあります。豊富なAPIやプラグインを活用することで、社内の既存ワークフローや業務システムとの連携が容易に実現できます。ユーザー数の増減や、新たな機能追加にも柔軟に対応でき、従来のオンプレミス型製品と比較して、導入後の設計変更や利用規模の拡大にもスムーズに対応できます。組織の成長や変化に合わせた運用が可能です。

さらに、専門知識や運用体制のサポート面でも優れています。オープンソース版のMattermostは世界中で利用されており、豊富な利用実績と情報が蓄積されています。グローバルなコミュニティサポートやプロフェッショナルサービスが充実しているだけでなく、国内ベンダーによる日本語サポート、導入コンサルティング、継続的な保守サービスも提供されています。自社ですべてを対応する必要はなく、必要な部分だけを外部の専門家に任せられるため、「ITスタッフが不足していてオンプレは難しい」という障壁を大幅に下げることができます。

最後に、導入スピードの面でも優位性があります。Mattermostは、シンプルで分かりやすい設計思想のもとに開発されており、標準的なインストーラーや管理ツールも充実しています。専門業者によるパッケージ導入や構築代行サービスを選択することもでき、最小構成であれば短期間での立ち上げが可能です。「オンプレは導入までが長い」という従来の常識を覆す、迅速な展開を実現しています。

Mattermostの特徴:セキュリティと利便性を両立するチャットプラットフォーム

セキュリティ要件を満たしながら、現場の業務効率化と情報共有を革新するビジネスチャットツールとして、機密情報を取り扱う企業から注目されているMattermost。

すでに世界中の政府機関、金融機関、大手企業で数多くの採用実績があり、特にセキュリティと運用管理が厳しく求められる環境で高く評価されています。

その最大の特徴は、オンプレミスでの運用が可能である点です。組織は自社のサーバー上にMattermost環境を構築し、データの保存場所、システムのバージョン管理、セキュリティポリシーの策定まで、すべてを自らの裁量で管理できます。これにより、組織固有のコンプライアンス要件や業界規制にも、確実に対応することが可能です。

また、REST APIや豊富なプラグインを活用することで、自社の既存システムや他の業務ツールとシームレスに連携できます。基幹システムとの統合や、ワークフロー自動化ツールとの接続など、組織の業務プロセスに合わせた最適な環境を構築できます。

機能面でも充実しています。チャンネル(グループ)ごとに会話を整理して管理でき、ファイル共有、リアルタイム通知、強固な権限管理、詳細な監査ログの出力、多要素認証など、エンタープライズレベルで求められる多様な機能を標準で備えています。さらに、PC、スマートフォン、タブレットなど各種デバイスからの利用にも対応しており、リモートワークやハイブリッドワークといった柔軟な働き方にも最適です。

Mattermostが官公庁・金融機関に選ばれる「確かな理由」

Mattermostが金融機関、官公庁、通信事業者といった社会の重要インフラを担う組織に選ばれている理由は、オンプレミス対応だけではありません。単なるチャット機能を超えた「運用の信頼性」「情報管理体制の強さ」「ガバナンスへの​対応力」が評価されています。

オンプレミスで利用可能

オンプレミス対応により、データの保存場所から通信経路、システム環境の構成まで、すべてを組織が自由に設定できます。これにより、組織が独自に定めたセキュリティポリシーやガイドラインを、妥協することなく確実に守ることができます。外部のクラウドサービスでは実現困難な、完全な情報統制が可能となります。

高セキュリティ運用と柔軟な構築

ゼロトラストを前提とした堅牢なセキュリティ設計だけでなく、多要素認証や細かなアクセス制御、独自プラグイン開発など現場のニーズに合わせたカスタマイズにも対応。厳格なセキュリティポリシーが求められる環境でも、安心して導入できます。

充実した管理機能・ログ監査対応

詳細なログ記録機能、柔軟な管理者権限設定、コンプライアンスレポート出力など、運用ガバナンスを強化するための機能が網羅されています。セキュリティインシデントが発生した際の迅速な対応や、内部統制の強化、外部監査への対応など、あらゆる局面で組織をサポートします。

国内外の導入実績

Mattermostは世界中の政府機関、金融機関、重要インフラ企業で採用されており、その信頼性と実効性は実証されています。国内外の厳しい環境で培われたノウハウが、製品の品質向上に継続的にフィードバックされています。

弊社、株式会社野村総合研究所もMattermostを全社導入し、約3万人規模で活用しています。

セキュリティ厳格な組織がビジネスチャット導入を成功させる秘訣

最後に、セキュリティに厳格な組織がビジネスチャット導入を成功させるためのポイントを整理しておきます。

最も重要なのは、自社のセキュリティポリシーに確実に適合するかどうかを、導入前に徹底的に確認することです。チェックリストを作成し、技術仕様書やセキュリティホワイトペーパーを精査し、必要であれば実環境でのPoC(概念実証)を実施することをおすすめします。

次に重要なのは、セキュリティと使い勝手のバランスです。どれほど堅牢なシステムを構築しても、現場の社員が使いこなせなければ意味がありません。直感的な操作性、分かりやすいインターフェース、十分なトレーニング体制が、導入成功の鍵を握ります。

また、拡張性と連携性も見逃せません。将来的に組織が成長し、業務プロセスが変化したとき、柔軟に対応できるシステムかどうか。既存の業務システムやワークフローツールとスムーズに連携できるかどうか。こうした視点でも製品を評価することが重要です。

さらに、サポート体制の充実度も確認すべきです。特に日本語でのサポート、トラブル発生時の迅速な対応、継続的なアップデート提供など、長期的な運用を見据えたサポート体制が整っているかどうかが、安定運用の鍵となります。

そして忘れてはならないのが、導入後の運用保守体制です。システムを導入して終わりではありません。定期的なセキュリティアップデート、ログの監視と分析、ユーザー教育の継続、そして事業継続計画(BCP)への組み込みまで、長期的な視点で計画を立てることが、真の成功につながります。

まとめ:機密情報を取り扱う企業でも導入可能なMattermost

官公庁、地方自治体、金融機関、通信インフラ企業など、機密情報を取り扱う組織が直面するセキュリティとガバナンスの課題。それらを乗り越え、情報集約と業務効率化を同時に実現するための最適解のひとつが、オンプレミスで運用でき、高度なカスタマイズとセキュリティ対策を兼ね備えた「Mattermost」です。

ビジネスチャットは、単なる「情報共有ツールの導入」という枠を超え、組織の「ガバナンス強化」「業務効率の向上」「柔軟な働き方の実現」を同時に達成するための、重要な基盤投資となっています。

世界中の重要機関で実証された効果と信頼性を武器に、Mattermostは今後、社会インフラを支える組織の「次世代コミュニケーション基盤」として、さらなる広がりを見せていくことでしょう。セキュリティを妥協せず、それでいて現場の生産性を最大化したい。そんな組織にとって、Mattermostは現実的で、信頼できる選択肢の一つとなります。

株式会社野村総合研究所はMattermostの公式代理店です。お気軽にこちらからお問い合わせください。