プロジェクト管理とは?管理すべきプロセスや項目、役立つ手法を紹介
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aslead編集部
こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。
プロジェクト管理とは、目標を達成するために、計画から実行、進捗の確認、完了までを一貫して管理するプロセスです。プロジェクトが複雑になるほど、スケジュールの調整やリスクの管理、リソースの最適な配分など、管理すべき項目が増えていきます。
この記事では、プロジェクト管理における基本的なプロセス、重要な管理項目を解説します。
実際の業務で役立つ手法も紹介するので、プロジェクトを成功に導く秘訣を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
プロジェクト管理とは
プロジェクト管理(プロジェクトマネジメント)とは、プロジェクトにおける目標や目的を達成するために、ヒト・モノ・カネなどの資源や時間、情報といったリソースを適切に活用し、作業の進捗を適切に管理することを指します。
効率的なプロジェクト管理は、企業が持続的な成長を目指す上で欠かせない要素です。コストや納期の遅延を最小限に抑え、プロジェクトの成功率を高めるのはもちろん、市場競争力を向上させます。
プロジェクト管理の世界標準として知られているのが、「PMBOK(Project Management Body Of Knowledge:ピンボック)」です。
PMBOKは、プロジェクトマネジメントの基礎知識を体系的にまとめたガイドラインで、アメリカに本部を構えるPMI(Project Management Institute)によって作成・公開されています。
4年に1回程度の頻度で内容が更新され、現在は、2021年に公開された第7版が最新で、最新のプロジェクト管理手法に基づく知見を提供しています。
目的・ゴール
プロジェクト管理の主な目的は、プロジェクトの目標を達成しつつ、利益の最大化を図ることです。
これを達成するには、以下の3つのゴールを適切に管理することが求められます。
ゴール | 概要 |
品質 (Quality) |
製品やサービスの品質を維持・改善する |
原価 (Cost) |
原価を把握し、利益率の改善や経営判断を行う |
納期 (Delivery) |
プロジェクトの始動から成果物の納品までを管理する |
5つのプロセス
PMBOKでは、プロジェクトを効率的に進めるための5つのプロセスが紹介されています。
これらのプロセスを適切に活用することで、プロジェクトのリスクを低減し、目標達成に近づけます。
5つのプロセス | 概要 |
立ち上げ (Initiating) |
プロジェクトを開始する前に、許可を得る |
計画 (Planning) |
プロジェクトの目的や目標を達成するための作業計画を立案し、作成する |
実行 (Executing) |
立案した作業計画に基づいて、適切なリソースを確保し、プロジェクトを実行する |
監視・コントロール (Controlling) |
プロジェクトの作業が、計画と差異なく実行されているかを継続的に監視する |
終結 (Closing) |
プロセスが完了していることを検証し、プロジェクトを正式に終結させる |
10の管理項目
PMBOKでは、プロジェクトを包括的に管理するために必要な10の項目が定義されています。
プロジェクトを円滑に進行するためにも、以下の管理項目を理解しましょう。
10の項目 | 概要 |
統合管理 (Integration Management) |
プロジェクト全体の方針を決め、プロジェクト開始から終結までの全体の指揮を行う |
スコープ管理 (Scope Management) |
プロジェクトを実施する範囲を決め、必要な作成物とタスクを定義し、目標達成の確率を高める |
スケジュール管理 (Schedule Management) |
プロジェクトのスケジュールを具体的に作成し、納期を守るための進捗管理を行う |
コスト管理 (Cost Management) |
プロジェクトにかかる費用を適切に見積もり、予算を管理する |
品質管理 (Quality Management) |
プロジェクトの成果物における品質の管理を実施する |
組織管理 (Organizational Management) |
プロジェクトを成功させるために必要な人材を調達し、プロジェクトメンバーを適切に管理する |
コミュニケーション管理 (Communications Management) |
円滑なプロジェクト活動のために、メンバー間のコミュニケーションを管理する |
リスク管理 (Risk Management) |
プロジェクトを進めていく中で発生しうるリスクを予測し、適切に管理する |
調達管理 (Procurement Management) |
プロジェクトに必要なサービスやプロダクトの調達先を管理する |
ステークホルダ管理 (Stakeholder Management) |
プロジェクトにおけるステークホルダー(利害関係者)に必要な情報を収集し、保管・伝達を管理する |
プロジェクト管理の必要性
プロジェクト管理を適切に行わない場合、納期の遅れや予算オーバーなどのリスクが高まります。
また、成果物の品質や顧客満足度が低下し、結果として取引先からの信頼を失うケースもあるでしょう。
特に競争の激しい市場環境では、適切なプロジェクト管理を通じてリスクを最小限に抑え、効率的なプロジェクト運営を実現することが重要です。
適切な管理を行うことで、顧客からの信頼を確保し、企業の持続的な成長を支えることができます。
プロジェクト管理の流れ
プロジェクト管理を成功させるためには、適切な手順で各プロセスを進めることが重要です。
ここでは、プロジェクト管理の具体的な流れについて詳しく説明します。
目標を設定する
プロジェクト管理をスムーズに進めるためには、まずプロジェクト全体の目標を具体的に定めておく必要があります。
目標が明確であれば、プロジェクトメンバー全員が同じ方向を目指して進むことができ、モチベーションの向上にもつながります。
また、「半年内に売上を20%増加させる」など、具体的かつ測定可能な目標を設定することで、進捗の確認がしやすくなり、プロジェクトの方向性を調整する際の基準にもなるでしょう。
タスクを分析する
目標を達成するためには、必要なタスクを詳細に分析し、優先順位を付けることが重要です。タスクを明確に洗い出すことで、作業の漏れや抜けを防ぎ、プロジェクト全体の流れを整理できます。
タスク分析には、WBS(Work Breakdown Structure)やマインドマップを活用するのも効果的です。
株式会社野村総合研究所(NRI)のaseladでは、タスクの分析や可視化に活用できるテンプレートが豊富なオンラインホワイトボード「Miro」を提供しています。
WBSやマインドマップのテンプレートもあり、プロジェクトを小さなタスクに分解し、全体の作業範囲を視覚的に把握したいときに便利です。
スケジュールを設定する
プロジェクトを納期内に完了させるには、詳細なスケジュールの設定が不可欠です。
各工程の所要時間を見積もり、依存関係を考慮したうえで、タスクごとのスケジュールを決めていきましょう。
また、長期的なプロジェクトでは、途中にマイルストーンを設定するのも有効です。
進捗状況を視覚的に分かりやすく表示させるツールを活用すると、遅れを早期に発見して対策を講じることができます。
asleadでは、プロジェクト管理ツール「Jira」を提供しています。
Jiraは世界で65,000を超える企業で利用される、グローバルスタンダードなプロジェクト管理ツールです。
ロードマップ機能によりプロジェクト全体の進捗を追跡したり、依存関係のマッピングができるため、スケジュール管理はもちろん、プロジェクト全体の効率的なマネジメントに役立ちます。
タスクの割り振りを決める
次に、各タスクを担当するメンバーを決定します。
メンバーのスキルセットや経験、現在の負荷状況を考慮しながら、適切にタスクを割り振ることがプロジェクトの効率化につながるでしょう。
また、役割分担を明確にしておくことで、メンバー同士の衝突を避け、チーム全体の連携がスムーズになります。
進捗状況を把握する
プロジェクト管理を成功させるには、進捗状況を常に把握し、必要に応じて調整を行うことが求められます。
進捗の遅れや予定外の問題が発生した場合は、早急に対応策を講じ、プロジェクト全体のスケジュールに影響が出ないようにすることが重要です。
先ほど紹介した「Jira」などのプロジェクト管理ツールを導入し、チーム全員で共有することで、タスクの進行状況をリアルタイムで把握し、問題の早期発見と対応が可能になります。
メンバーのモチベーションを維持し、全体の連携を強化する効果も期待できるでしょう。
プロジェクト管理に役立つ主な手法
プロジェクト管理を成功させるには、プロジェクトの性質や目標に合わせた適切な手法を選ぶことが重要です。
ここでは、プロジェクト管理でよく使われる5つの手法を紹介します。
いずれの手法も「Miro」や「Jira」などのツールを活用することで、簡単に導入することが可能です。
それぞれの特徴を理解し、プロジェクトの効率化に役立ててください。
アジャイル(Agile)
アジャイル(Agile)は、「素早い」「機敏な」という意味を持つ言葉で、特にソフトウェアやシステム開発で多く用いられる手法です。
計画、設計、実装、テストといった開発プロセスを小さな単位で反復的に進める手法で、顧客のフィードバックを迅速に取り入れ、仕様変更にも柔軟に対応できるといったメリットがあります。
また、従来の開発手法であるウォーターフォールに比べて、開発期間を短縮できるのも特徴です。
スクラム(Scrum)
スクラム(Scrum)は、アジャイルの一種であり、特にチームでの開発に特化したフレームワークです。
少人数のチームが短期間(一般的には2~4週間)の開発サイクルを繰り返す「スプリント」と呼ばれる方法で進行します。
毎日の短いミーティング(デイリースクラム)を通じて進捗を確認し、問題を早期に発見して解決するため、スピード感を保ちながら、質の高いプロダクトの開発が可能です。
クリティカルパス法(CPM: Critical Path Method)
クリティカルパス法(CPM: Critical Path Method)は、プロジェクトの全工程を時系列で整理し、プロジェクト完了までに不可欠なタスクを特定する手法です。
大型プロジェクトや複雑なプロジェクトにおいて特に有効な手法で、プロジェクトの各工程を時系列に並べて管理し、タスクの重要度を見積もります。
重要度の高いタスクは遅延が発生すると全体の納期に直接影響を与えるため、特に慎重な管理が必要です。
カンバン(Kanban)
カンバン(Kanban)は、プロジェクト管理においてタスクの進捗状況を視覚的に管理する手法です。
カンバンボードと呼ばれるボードに各タスクをカード形式で表示し、「未着手」「進行中」「完了」などのステータスを更新しながら管理します。
タスクの進捗を一目で確認でき、遅延が発生しそうな箇所を早期に発見できるのがメリットです。
また、チームメンバー間のコミュニケーションが円滑になり、柔軟な計画の調整にも対応しやすくなります。
ガントチャート(Gantt Chart)
ガントチャート(Gantt Chart)は、プロジェクトの進捗管理を視覚的に行うためのツールです。
縦軸にタスクや担当者、横軸に時間軸を配置し、各タスクの開始日、終了日、進捗率を視覚化します。
これにより、プロジェクト全体の進捗やタスクの依存関係を簡単に把握でき、遅延リスクの早期発見が可能になります。
メンバー間での情報共有がしやすく、特に複数のチームが関わるプロジェクトや、タスクが多岐にわたる場合に効果的です。
プロジェクト管理を成功させるコツ
プロジェクト管理を成功させるには、いくつかのコツがあります。
目的・目標を共有する
プロジェクト管理を成功させるには、プロジェクトメンバー全員が同じ方向を目指して取り組むことが重要です。
プロジェクトの目的や目標は、具体的にわかりやすく設定し、メンバー全員に共有しましょう。
小さな目標を掲げて一つひとつクリアしていくと、メンバーのモチベーションが高まり、プロジェクトの方向性が一貫します。
タスクの進捗を可視化する
個々に割り振られたタスクの進捗状況は、メンバー全員が把握できるようにしておくと、プロジェクトをスムーズに進行できます。
先ほど紹介したカンバンやガントチャートなどの手法を用いてタスクの進捗を可視化すると、遅れが生じている部分を早期に発見でき、迅速の対処することが可能です。
これにより、プロジェクト全体の遅延リスクを減らし、スケジュール通りに進行できる可能性が高まります。
情報共有とコミュニケーションを重視する
プロジェクトを成功させるためには、メンバー間での情報共有と円滑なコミュニケーションが鍵となります。
リモートワークが普及した現代では、適切なITツールを導入し、離れた場所にいるメンバーともリアルタイムでコラボレーションできる環境を構築しましょう。
株式会社野村総合研究所(NRI)のaselad では、先ほど紹介したオンラインホワイトボード「Miro」に加えて、コラボレーションチャットツール「Mattermost」を提供しています。
Mattermostは、セキュリティに優れたコラボレーションチャットツールとして政府機関や金融業界など、機密情報を扱う企業でも導入されており、リアルタイムの情報共有が可能です。
クラウド利用はもちろん、オンプレミスでの利用にも対応しており、柔軟なカスタマイズ性を備えています。
プロジェクト管理ツールを導入する
プロジェクトを適切に管理するために、プロジェクト管理ツールの導入は不可欠です。
先ほど紹介したプロジェクト管理ツール「Jira」は、カンバンボードやスクラムボード、ダッシュボードなどの機能を備えており、視覚的なプロジェクト管理に役立ちます。
3,000以上のプラグインやアドオンを備えており、企業のニーズに応じてカスタマイズが可能です。
また、プロジェクトに関連するドキュメント類の管理には、ビジネス向けWikiツール「Confluence」の利用もおすすめです。
Confluenceは、資料の作成や情報の蓄積・共有が簡単にできるツールです。膨大な資料を一元管理することができ、高度な検索機能やアクセス権限の設定も可能です。
プロジェクトメンバーが必要な情報に素早くアクセスできるようにすることで、作業の無駄を省き、業務の効率化を実現します。
プロジェクト管理ツールの導入はasleadにご相談ください
プロジェクトを成功に導くためには、適切なプロジェクト管理が必要です。管理すべきプロセスや項目、手法など、プロジェクト管理の基本を理解したうえで、効率的なマネジメントを心がけましょう。
株式会社野村総合研究所(NRI)のasleadでは、企業のニーズに合わせたツールの導入支援から、運用後のサポートまで一貫して対応します。
プロジェクト管理をデジタル化し、効率化を図りたい企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。