DevOpsとアジャイルの違いとは?定義や実践方法を解説
- 執筆者
-
aslead編集部
こんにちは。aslead編集部です。
最新ソフトウェア開発のトレンドから、AI・DXツールの効果的な活用法、企業のITガバナンスの強化、業務効率化やDX化を成功に導くソリューションまで、幅広い記事を提供しています。
企業が直面する課題の解決策として効率的なツールの活用方法を探求し、生産性の向上に繋がる実践的な情報をお届けすることを目指します。
DevOpsとアジャイルは、ソフトウェア開発の効率化と品質向上を目指すためのアプローチとして広く知られていますが、その違いがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、DevOpsとアジャイルの定義や基本概念、具体的な実践方法について詳しく解説します。
DevOpsとアジャイルの違い
DevOpsとアジャイルは、どちらもソフトウェア開発現場で使用されるため、しばしば混同されがちですが、その定義や意味には明確な違いがあります。
DevOpsは、「開発(Development)」と「運用(Operations)」を組み合わせた造語で、開発チームと運用チームが密に連携することの重要性を示す概念です。
開発から運用までの全体的なプロセスに焦点を当て、リリースサイクルを迅速かつ信頼性の高いものにすることを目的としています。
一方で、アジャイル(agile)は「機敏な」「素早い」という意味を持ち、小さな単位(スプリント)での実装とテストを繰り返しながらソフトウェアを頻繁にリリースする開発手法をあらわす言葉です。
開発チームは顧客のフィードバックを迅速に取り入れ、柔軟に対応することを目的としています。
アジャイル開発を実現するためには、DevOpsを実践することが重要だと言われています。DevOpsとアジャイルを組み合わせることで、より効率的で柔軟なソフトウェア開発・運用体制を築くことが可能です。
DevOps とは
ここでは、DevOpsについて、さらに詳しく解説します。
前述の通り、DevOpsはソフトウェアの開発チームと運用チームの協力を強化することで、ソフトウェアのリリースサイクルを迅速かつ信頼性の高いものにするアプローチです。
自動化と継続的な改善を通じて、開発チームと運用チームがシームレスに連携し、より迅速に、安定したソフトウェアを提供することを目指します。
ただ単にアプリケーションのリリーススピードを速めるだけではなく、顧客満足度向上や市場競争力強化を目指すことが、DevOpsの概念です。
主な開発手法
DevOpsの主な開発手法には、以下の要素が含まれます。
- 継続的インテグレーション (CI)
- 継続的デリバリー (CD)
- 継続的デプロイメント(CD)
継続的インテグレーション(CI)とは、開発者が頻繁にコードをリポジトリに統合し、自動化されたビルドとテストを行う開発手法です。バグを早期に発見して修正することで、品質を向上させます。
継続的デリバリー(CD)は、ビルド・デプロイのプロセスを自動化することで、コードを常にリリース可能な状態に保つ開発手法です。これにより、ソフトウェアの迅速な更新が可能となります。
継続的デプロイメント(CD)は、より高度な自動化を実現した手法であり、コード変更がリポジトリに統合された後、自動化されたパイプラインを通じて迅速かつ信頼性の高い方法で本番環境にデプロイされます。ソフトウェアのリリースサイクルを短縮し、頻繁なリリースを可能にすることで、新機能や修正を迅速に市場に投入でき、競争力を向上させます。
導入するメリット
DevOpsを実践することで、以下のようなメリットが得られます。
- 開発スピードの向上
- 品質の安定化
- 顧客満足度の向上
- 開発コストの削減
- 業務効率化
- 生産性向上 など
自動化と継続的インテグレーションにより、コード変更を迅速にリリースできるため、市場への展開が早まります。
また、自動化されたテストとデプロイメントがバグやエラーを減少させ、ソフトウェアの品質が安定し、信頼性や顧客満足度が高まるのもメリットです。
開発プロセスを自動化することで人為的なミスが少なくなることで、確認や修正にかかる労力・コストの削減につながります。
業務効率が改善され、人的リソースをより有効に活用できるため、生産性が向上するでしょう。
アジャイルとは
続いては、アジャイルについて詳しく見ていきましょう。
アジャイルは、顧客ニーズや市場動向の変化に迅速に対応するためのソフトウェア開発手法です。
短期間の反復サイクル(スプリント)を通じて段階的に機能をリリースし、頻繁なフィードバックを得ることで、プロジェクトの方向性を柔軟に調整します。
主なフレームワーク
アジャイル開発には様々なフレームワークが存在します。
以下は、代表的なアジャイルフレームワークです。
- スクラム
- カンバン
- エクストリーム・プログラミング(XP) など
スクラムは、1~4週間のスプリントを使用して設計・開発・テストを繰り返し、各スプリントの終わりに動作するソフトウェアのインクリメントを作成します。
スクラムチームは、プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者で構成され、毎日最長15分のデイリースクラムコミュニケーションを活性化し、進捗状況を共有します。
カンバンは、作業の視覚化と継続的なフローの改善に焦点を当てたフレームワークです。カンバンボードを使用して、タスクのステータスを「To Do」「In Progress」「Done」などの列に分けて表示し、作業の流れを管理します。
これにより、ボトルネックの特定と解消が容易になり、作業の効率化が図れます。
エクストリーム・プログラミング(XP)は、技術的な卓越性とチームワークを強調するフレームワークです。
コミュニケーション・シンプリシティ・フィードバック・勇気・リスペクトという5つの価値をベースにしています。ペアプログラミング、テスト駆動開発(TDD)、継続的インテグレーションなどを採用し、高品質なソフトウェアを迅速に提供します。
導入するメリット
アジャイル開発を実践することで、以下のようなメリットが得られます。
- 柔軟性の向上
- 品質の安定化
- 顧客満足度の向上
- 業務効率化
- コミュニケーションの活性化 など
短いスプリントと頻繁なフィードバックにより、変化する要求や市場の動向に迅速に対応できます。バグや不具合を早期に発見・修正できるため、品質が安定し、顧客満足度も向上します。
継続的な改善とボトルネックの解消により、業務効率も向上するでしょう。無駄を減らし、生産性が高まるため、リソースを有効に活用できます。
さらに、開発チームメンバーが互いに連携しやすい環境を構築することで、チームのコミュニケーションが活性化します。
チームの連携とコラボレーションを強化するために、以下のようなツールを用いる開発現場が多いです。
- Jira Software(プロジェクト管理ツール)
- Mattermost(コラボレーションチャットツール)
- Miro(オンラインホワイトボード)
これらのツールはソフトウェア開発現場だけではなく、営業やバックオフィス部門など、あらゆるビジネスチームにおける業務効率化にも役立ちます。
DevOpsの実践にはツールが不可欠
これからの開発現場においては、アジャイル開発の手法を実践していくだけでなく、DevOpsの実現によって市場競争力をより高めることが求められています。
しかし、開発チームと運用チームの協力体制を強化し、DevOpsを実現することは、簡単ではありません。
開発チームは顧客ニーズに合ったソフトウェアを開発するのが役割、運用チームはソフトウェアを安定的に稼働させ、サービスを保守するのが役割です。
異なる役割を担うチームだからこそ、意見の対立が起こることもあります。
DevOpsを実践するには、開発チーム・運用チームそれぞれの役割と考え方を尊重した適切なツールの導入が必要です。
野村総合研究所(NRI)のasleadでは、DevOpsに役立つ様々なツールの導入支援を行っています。ここでは、おすすめツールを5つ紹介します。
GitLab(総合プラットフォーム)
GitLabは、DevOpsを実現するための総合開発プラットフォームです。ソースコード管理、CI/CD、課題管理など、DevOpsを実現するために必要な機能が備わっています。
例えば、CI/CDパイプライン機能は、テストやコンプライアンスチェック、デプロイなどの自動化が可能です。これにより、開発者の手作業を最小限に抑え、開発チームの負担を軽減することができます。
また、GitLabには有償プランと無償プランがあり、有償プランには監査機能や動的解析(DAST)機能も備わっています。
GitLab有償プランの利用企業は全世界で10万を超えており、多くの企業のDevOps実現をサポートしている人気ツールです。
GitLab Runner(CI/CDの実行)
GitLab Runnerは、継続的インテグレーション(CI)と継続的デリバリー(CD)を実行するためのツールです。
あらゆる種類のタスクを自動化するGitLabのCI/CD機能と組み合わせて使用でき、ジョブの実行結果はGitLabの画面上で確認できます。ジョブが失敗すると後続のジョブが実行されないため、デグレーションが減少するというメリットもあります。
単純作業を自動化し、複数のジョブを同時に実行できるため、作業時間を大幅に短縮でき、開発現場の働き方改革に役立つでしょう。
Jenkins(CI/CDツール)
Jenkinsも、継続的インテグレーション(CI)と継続的デリバリー(CD)の実行に適したツールです。
ビルド、テスト、リリース、デプロイに関連するあらゆるタスクを自動化します。
Jenkinsは拡張性の高さが特徴で、1790ものプラグインがあり、継続的インテグレーションおよび継続的デリバリーツールのほぼすべてと連携ができると言われています。
Kubernetes(コンテナオーケストレーション)
Kubernetesは、コンテナ運用に関わる領域(コンテナオーケストレーション)のオープンソースのプラットフォームです。
リソース制御やカナリアリリースなど、マイクロサービスを提供するために必要な機能が備わっています。
スケーリングや自動デプロイなどの機能もあるため、継続的インテグレーション(CI)と継続的デリバリー(CD)に活用できるのも特徴です。
パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスなど、あらゆる基盤で導入可能なので、基盤の移行時にも、アプリの修正にかかる手間を最小限にできます。
ATgo(テスト自動化ツール)
ATgoは、ローコードで簡単に操作できるテスト自動化ツールです。
WEBシステムのUIテスト・API(REST/gRPC)テストを高度自動化でき、品質向上とコスト削減を実現できます。
マルチプラットフォーム対応で、主なブラウザを全てサポートしており、継続的インテグレーション(CI)と継続的デリバリー(CD)の統合にも対応可能です。
アジャイル開発・DevOpsの実現はasleadにご相談ください
アジャイル開発とDevOpsの実現には、適切なITツールの導入と適切な活用が必要です。
株式会社野村総合研究所(NRI)のasleadでは、アジャイル開発の実践に不可欠なツールの導入やカスタマイズはもちろん、開発チームと運用チームがスムーズに連携できる環境の構築をサポートし、DevOpsの実現を支援します。
「aslead Agile」「aslead DevOps」は、NRIの開発現場から生まれたソリューションです。
NRIの独自ノウハウをもとに、適切なツールの提案はもちろん、ご要望に添ったカスタマイズやNRI独自機能の提供も可能です。
オールインワンでのソリューションを提供いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。