Case導入事例

レガシーシステムからの脱却に成功
【株式会社NTTドコモ様】

2023年12月22日

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株式会社NTTドコモ プロダクトマーケティング本部

導入から長い期間が経過してしまったレガシーシステムは、老朽化や複雑化しやすく、企業にとって大きなリスクとなり得るものです。長く使っていたシステムを刷新し、モダナイゼーションを実現したい考える企業も多いのではないでしょうか。

今回は、JiraとConfluenceの導入によりレガシーシステムを刷新し、モダナイゼーションに成功された 株式会社NTTドコモ プロダクトマーケティング本部の齋藤様、浅井様、吉田様、小森谷様にお話をうかがいました。

株式会社NTTドコモ プロダクトマーケティング本部の齋藤様、浅井様、吉田様、小森谷様

まずは、プロダクトマーケティング本部について教えてください。

株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、通信事業やスマートライフ事業に加え、各サービスにおけるデバイスの販売等を行っています。
プロダクトマーケティング本部は、主にデバイスの企画・設計から開発・テスト、リリース後のサポートまでを一貫してマネジメントする部署です。

新機種リリースのタイミングでは、複数社のデバイスメーカーが同時期に並行して開発を進めます。
実際には、新機種だけではなく、OSバージョンアップに向けた開発もあるので、多数のデバイスの開発が同時期に並行します。

デバイスの開発だけではなく、搭載するアプリの開発も必要です。
ほかにも、チップセットベンダー、ネットワークシミュレーションベンダー、テストハウスなど、多数の外部パートナー様にご協力をいただいています。

レガシーシステムからの脱却が急務

今回、新たなシステムの導入を決めた背景を教えていただけますか?

プロダクトマーケティング本部では、多数の外部パートナー様とやり取りや、調整をしながらデバイス開発を進めています。
デバイスの開発管理には、オンプレミスで開発したシステムを使用していて、ユーザー数は2,000ほどですが、その先にはもっとたくさんの関係者にご参画いただいている状態です。

しかし、旧デバイス開発管理システムは20年以上前、まだ3Gの頃に立ち上げたものだったため、老朽化が課題となっていました。

これまで効率化やセキュリティ対策のための開発を幾度となく加えてきましたが、市場の最新のソリューションと比較するとどうしてもUI/UXが古く、チケット管理はできるものの通知はメールと併用しなければならないなど、使いにくさもありました。

また、機能改善・変更でたびたび開発を行った結果、システム全体の複雑性が増し、いわば絆創膏だらけのシステムとなってしまいました。
OS等のEOLに対する更新作業も限界がきていて、技術的にもコスト的にも保守が困難になってきました。

当然ながら利用者のモチベーションも低くなりやすい状態にあり、Excelの課題管理表を別途作成して運用するチームやサードパーティーのタスク管理ツールを独自に導入するチームもあるなど、ワンストップでのマネジメントが難しい状況が生まれるようになりました。

そのため、既存システムに代わる新たなシステムを導入し、レガシーシステムからの脱却を図ることを検討したのです。

モダナイゼーションにおける課題

新たなシステムを導入するにあたって課題はありましたか?

デバイス開発管理は、開発プロセスの工程ごとに、多数の外部パートナー様とのやり取りやタスク管理が必要な業務です。

例えば、デバイス開発の上流工程では、その商品における訴求ポイントや価格、販売計画台数等、市場動向を踏まえたマーケティング観点のやり取りが開始されます。
設計・開発・テストの工程では、仕様書や設計書のやり取り、それに対する各種調整、開発ソフトウェアのバグ管理、リリースまでの調整が必要です。
さらに、リリース後にお客様から不具合等のお申し出があった場合、その調査や対応の管理も行います。

旧デバイス開発管理システムはオンプレミス開発だったため、必要な機能はその都度開発を加えることで対応してきました。
そのため、リプレイスするシステムは既存システムの機能要件をすべて満たしたものでなければスムーズな引継ぎができません。

しかし、同じシステムを新たに開発するとなると多額の開発費がかかり、開発リードタイムも長くかかるという点が課題となっていました。

新システム選定のポイント

新たなシステムとしてJiraとConfluenceに注目したのはなぜですか?

Jiraに注目したのは、既に市場で多く利用されている実績のあるソリューションであったこと、チケットによるタスク管理に優れており、既存システムの機能要件を満たし、引き継げると判断したことが主な理由です。
システム開発の現場で導入されることが多いツールだと認識していましたが、業務部門でも効率化に役立つと判断しました。
UI/UXが最新で、インテリジェンスであったことも魅力を感じたポイントです。

Confluenceについては、デバイス開発管理業務において必要なドキュメント管理機能を備えていること、カスタマイズ性が豊富なこと、Jiraと共通のアカウント管理が実現できる点に注目しました。

また、導入にあたってNRI様からの手厚いサポート体制に期待ができたことも決め手となっています。
特に、ドコモのデバイス開発管理システムは、複数の外部パートナー様が利用するものなので、共通のシステムを使用しながらアクセス制限を行うなど、セキュリティ対策を徹底する必要があります。
一方で、ドコモ側としてはすべての進捗状況を一元管理できるシステムが理想で、かつ視覚的に把握しやすいものを求めていました。

NRI様にその旨を相談したところ、弊社のニーズに合わせてカスタマイズされた独自開発のプラグインを導入いただけることになり、それであれば問題なく運用できると判断したこと、コスト面でもメリットが見いだせたことなどから、JiraとConfluenceの導入を決めました。

NTTドコモにおけるデバイス製品の開発管理システム概要

モダナイゼーションの流れ

JiraとConfluenceを導入したときの流れを教えてください。

JiraとConfluenceの導入にあたってはマイルストーンを設定し、まずはプロダクトマーケティング本部内での導入、次にドコモ内の関連部署や外部パートナー様へのリリースという流れで進めました。
最初にJira、次にConfluenceという順番です。

導入時は、NRI様にドコモ側の管理者向けに操作説明会をしていただき、外部パートナー様への説明・問い合わせ対応はドコモで行いました。

実際にJiraとConfluenceを導入してみてどうでしたか?

これまでは旧デバイス開発管理システムを使用しつつも、それぞれの利用者がメールやExcel、バッグログを使っていたり、システムに対応した別のツールを2次、3次的に作成して効率化していたりしたため、導入当初は大反発を受けることもありました。

外部パートナー様からも毎日問い合わせがあり、やはり多かったのが「旧システムで使っていた○○の機能がない」「旧システムではできていた○○ができなくなった」など、旧デバイス開発管理システムとの違いを指摘するものでした。

問い合わせやご指摘の内容を大きく分けると「機能を追加して欲しい」というもの、「ルールを決めて欲しい」というものがほとんどでした。

追加機能については、NRI様にアドバイスをいただき、プラグインを導入することで対応できました。
ルールについては、旧デバイス開発管理システムでは曖昧でやってしまっていたことが、今回のシステム刷新によって浮き彫りになった部分もあり、逆に整備できて良かったと思っています。

利用者が「使い慣れていた」という理由で、残してほしいと要望する機能をすべて追加したシステムを自社で開発するとなると、莫大な費用と時間がかかります。

JiraやConfluenceのように既存のシステムを導入するほうが、いい意味で割り切れるというのが率直な感想です。
もちろん、セキュリティ対策などの割り切れない部分もあるので、カスタマイズ性は必要です。

また、モダナイゼーションでは、業務の在り方を含めて見直していかなければいけないと感じました。
ローンチ後に運用フローを整備するなかで気がつけたこともあり、問題点を一つひとつ解決しながら、システムをより良いものに育てているという感覚があります。

現在では「旧システムと比べて…」といった問い合わせはほとんどなくなり、外部パートナー様からは、今のシステムをより良いものにしていくためのアグレッシブなご意見をいただくことが多くなりました。

モダナイゼーションの効果

JiraとConfluenceの導入効果はありましたか?

旧デバイス開発管理システムで実現していた機能は、 JiraとConfluence をカスタマイズして導入することで十分満たすものとなりました。

リアルタイムなタスクの可視化という観点では、 Jiraに用意されている豊富なダッシュボード機能やWBSガントチャートを活用することにより、以前よりも進捗管理がしやすくなっています。

外部パートナー様からも、フィルターやダッシュボードを活用することで効率的なタスク管理が実現できているなど、ポジティブな声をいただいています。

今回、旧デバイス開発管理システムを刷新するにあたっては、単なるレガシーシステムのリプレイスにとどまらず、「開発管理業務の効率化」「利用者のモチベーション向上」「システムのカスタマイズ性の向上」の3つを実現したいと考えていました。

結果として、すべて達成できたと感じています。

システムを刷新したことで、UI/UXが新しくなったこともあり、利用者のモチベーションは上がっている印象があります。
標準機能に加え豊富なプラグインにより、これまでの旧デバイス開発管理システムではできなかった、利用者側でのカスタマイズも可能となりました。

例えば、ダッシュボードを活用したリアルタイムなチケット状況の把握、WBSガントチャートを用いた進捗管理、カンバンボードによるタスク管理など、必要に応じて進捗状況を可視化することで、それぞれの担当者に問い合わせをしなくてもJiraを見れば知りたいことが分かる状態になり、効率化はもちろんですが、チームのコミュニケーションも良くなったと感じます。

また、カスタマイズ性の向上という観点では、追加で必要な機能はプラグインの導入で対応できるので、以前と比べてコストと時間を大幅に削減できています。

プラグインの導入にあたっては、NRI様に大変活躍していただきました。
必要機能の相談から提案、プラグインの試行のサポート、QAまでサポートいただいており、非常に助かっています。

旧デバイス開発管理システムでは、こうした改善にも時間と開発コストがかかることから、タイムリーな対応は難しい状況でした。

それを踏まえると、ただ導入して終わりではなく、運用するなかでの気づきや利用者からの声をもとにした迅速なシステム改善、機能追加を実現できるので、JiraとConfluence を導入した効果は十分に得られていると感じます。

今後の展望について

Jira・Confluenceの活用について今後の展望をお聞かせください。

旧デバイス開発管理システムとは違い、JiraとConfluenceは利用者側にも裁量があるので、これからリテラシーが上がっていけば、もっと使いやすいシステムになっていくと思っています。
まだまだ工夫の余地があるため、さらなる効率化を図っていきたいです。

また、ドコモ社内における利用者の範囲も広げていきたいと考えています。
実際、導入当初と比較すると社内の利用者は増えていて、これまではシステムを使っていなかった部署のメンバーが利用し始めるなど、部署を越えた広がりが見られています。

本来は関わるべきデバイス・アプリの設計・開発やテストに関わる部署や営業の部署にも利用して欲しいと考えているので、利用者の範囲をもっと増やして3,000ユーザーを目指していきたいです。

さらに、今回のシステム刷新ではスコープ外としていた当社の開発関連業務で使用している一部の別システムにおいても、JiraとConfluenceへの機能巻き取りにより、さらなるシステム統合、効率化ができると考えています。

JiraとConfluenceの特性を活用し、組織の分割損を解消する取り組みについても、現在進めているところです。

NRIの導入支援に対する感想、今後のご要望などお聞かせください。

NRI様には、当社の状況をヒアリングいただき、要望に合わせたシステムのご提案をいただきました。
これまでのご実績から、立ち上げ時の支援、システム構築後のサポートまで、確実にご対応いただけるスキルのある会社と考えて、依頼いたしました。

実際に、システム刷新プロジェクトを進めるうえでは様々な問題が生じましたが、解決に困った際も的確なアドバイスや解決ソリューションをご提案いただくなど、手厚いフォローもいただけたと感じています。

今回は、旧デバイス開発管理システムがレガシー化していたこと、複雑で利用者も多いこと、セキュリティの担保が必要なことなどから、難易度が高いプロジェクトでしたが、NRI様のご支援のもとシステム刷新を完遂させることができ、大変満足しております。

導入検討中の企業へのアドバイス

Jira・Confluenceの導入を検討している企業にアドバイスはありますか?

Jira は2002年に開発されたものなので、2023年現在では20年以上経過しています。
しかし、長い歴史をもつなかで、継続して市場をリードする進化をしており今でも全世界で利用されているツールです。

さらに、SlackやTeamsなど、市場で多く使われているサービスとの連携機能も提供されており、最近ではChatGPTとの連携もAtlassian社で始まっていると聞き、まだまだ発展が見込めます。

また、ツールを利用するならば徹底的に使いこなしたいと考えるはずです。
ライセンスだけでなくサポートを含めてNRI様と一緒に進めていけば、より優れたシステムを提案、構築支援してもらえると確信しております。

当社もこちらの要望を正確にくみ取ってNRI様に迅速に対応いただきました。ぜひサポートを含めて検討してみてはいかがでしょうか。

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