子供向けIT作品コンテストイベント「EXA KIDS 2022 ファイナル 」を
Miroで盛り上げるお手伝いをしました
2023年4月21日
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Miro(ミロ)は複数人で離れた場所からでもオンライン上で共同作業ができるビジュアルワークスペースです。
世界中にも6,500万人を超えるユーザーがおり、日本でも120万人以上の方に愛用されています。
ここでは、Miroを活用したEXA KIDS 2022について紹介していきます。導入の検討の一助としてご利用ください。
去る2022/11/27(日)、オンラインイベント「EXA KIDS 2022」が開催されました。
https://contest.exa-kids.org/2022
EXA KIDSは小中学生向けのIT作品のコンテストです。IT作品というとプログラミングやアプリ・ゲームなどを想像されるかもしれませんが、EXA KIDSが対象とするIT作品はもっと幅広く、たとえば日常の生活を助けるようなツールだったり、特定のテーマに沿って調査した内容をデジタルデータにまとめて引用しやすくしたり、とITを活用されたものであれば基本的になんでもOK。エントリーした小中学生(以下「選手」)の自由な発想で作られた実にさまざまな作品が寄せられます。
EXA KIDSでは作品自体の独創性やクオリティももちろん重要視されますが、それをアピールするプレゼンも非常に重要な位置づけにあります。1人5分という非常に短い持ち時間を最大限に活かし、選手たちそれぞれ個性豊かな発表スタイルで自身の作品を発表されます。
それでは実際のイベント当日の様子を簡単に紹介していきましょう。
朝一、参加者はイベント会場となる「noiz」というで会場に入場します。「noiz」はイベントスポンサーでもある株式会社TENTOが開発したビデオ会議ツールで、同じビデオ会議ツールの「Zoom」でいうブレイクアウトルームのように複数の部屋を作れるのですが、それぞれの部屋の音がちょっとずつ漏れ聞こえてくるのが特徴です。あたかも現実の教室のような空間をオンライン上で作り出すことができます。(※ユーザー個々の手元の設定で他の部屋の音を完全に遮断することも可能)
入場すると以下のような風景が待っています。某少年漫画のストーリーの中にあった仮想ゲームへの入場を彷彿させるような女の子のアバターがお出迎えしてくれます。さすがIT作品のコンテスト、お出迎えから早速サイバー感に溢れています。
受付を通ると本会場へ。以下は開会式の様子です。みんな勢揃いでご挨拶。
大会長の近藤 悟様からイベントコンセプトやスポンサー企業のご紹介が、よく通る聞きやすい声でスムーズに行われていきます。
開会式が終わると早速選手たちによる発表と作品審査が開始されます。
小中学生と侮るなかれ、彼らはイベントの前月に行われた予選を勝ち抜いてファイナリストとしてこの場に立っています。つまり歴戦の猛者!堂々とカメラ前に立ち、大人顔負けの話術で自慢の作品を紹介していきます。
選手たちが作品作りに取り組んだきっかけも、選手自身やご家族の悩みのような身近な課題から、「SDGs」のような大きな社会課題に対する問題意識からの取り組みもあれば、単純に選手自身の強い強い興味や楽しみから始まる取り組みなど、実に様々です。
それらに対して個性あふれるアプローチを試み、時には大人や先生・プログラミング教室の講師役などの大人たちの助力を借りながら、自らが抱いた理想の作品を実現させていったことがありありと説明されていきます。
選手たちのプレゼンの内容を聞いていると圧倒されて呆気にとられてしまうのですが、これはEXA KIDS、コンテストです。審査員の皆さんは選手たちの作品と発表に驚きや興味が惹かれる様子を隠さず、プレゼン後の選手に率直な感動を伝えながらも、冷静にそれぞれの観点で選手らに質問をしていきます。時には小中学生向けとは思えないような鋭いツッコミがあり、一方で手放しの賞賛から「私がスポンサーするから商品化までしてみませんか?」といった審査員としてではなく1ビジネスパーソンとしての本気が垣間見えるシーンもありました。
どちらも真剣勝負、手抜きやおためごかしではない本気の姿勢が伝わってきます。
選手たちのプレゼンや審査の様子は、事前申し込みした方は限定公開のYouTubeライブでその様子を視聴することができます。加えてMiroボードで作られた寄せ書きボードに選手たちへの応援メッセージや作品・プレゼンへの感想も書き込むことができるようになっています。「がんばれ!」という率直な応援メッセージが温かくも心強いですね。
選手たち全員のプレゼンが終わるまでにはなんと丸一日かかりました。みなさん本当にお疲れ様でした。
最後は閉会式と表彰式です。選手たち、審査員の皆さん、EXA KIDS 2022に関わった皆さん全員が、開会式同様に集合します。
EXA KIDS 2022には2つのコースが用意されました。
大まかに表現すれば、初心者向けの「チャレンジコース」と上級者・コンテスト経験者向けの「エキスパートコース」です。
まずは「チャレンジコース」から表彰が行われました。
前述のように、この日行われたのはEXA KIDS 2022のファイナリストの対決です。「エキスパートコース」の選手はもちろん、「チャレンジコース」の選手だって数多の選手たちの中から勝ち抜いてきた猛者ばかり。初心者向けと侮るなかれ、とてもハイレベルな作品・発表ばかりでした。
その中で最優秀賞を勝ち取ったのは、中沢 柊葉 選手の「Release」でした。BlenderやUnityを駆使して3D CGゲームを制作し、「シンギュラリティ」という難しいテーマを見事に表現されていました。おめでとうございます!
いづれ公開するつもりで開発中とのことで、いつか触れる日が来ることが今からとても楽しみですね。
続いて「エキスパートコース」の発表。過去のEXA KIDSや他コンテストで優勝経験がある選り抜き集団が切磋琢磨したこのカテゴリーは本当に非常にレベルが高く、大人で仕事でITに携わっている筆者らの目から見ても息を飲むほどでした。
その中で栄冠を勝ち取り最優秀賞に輝いたのは、かっぷめんさんの「Mark-app」でした。TypeScriptやRust、Reactなど現在業務アプリ開発でも主流の技術要素をいくつも使いこなし、これまた業務アプリとして有料で今すぐ売り出せそうなクオリティでマークダウンに特化したエディタを制作してくれました。
審査員の方からも具体的に「出資したい」など本気のコメントを引き出したあたりは圧巻の一言。EXA KIDSが子供向けの枠には当てはまらない、ビジネスシーンでも通用する選手が台頭してこれる場であることを端的に表す作品だったと思います。改めておめでとうございます!
そして、受賞した選手の皆さんにはとても豪華な賞品が授与されます。大人の筆者でも欲しくなるような物ばかり……。筆者の子供時代にもこんなコンテストがあって欲しかった……実に羨ましい。
受賞されたみなさん、本当におめでとうございました!!
そして出場された選手の皆さん、お疲れ様でした!!!
以下は少々長くなりますが、EXA KIDS 2022に関わらせて頂いた筆者の感想となります。
まず率直に「とてもレベルが高かった!」の一言に尽きます。大人顔負けとかそういう次元ではない、仮に大人のコンテストに彼らが混ざっていても全くそん色が無かったであろう、と筆者は感じました。
我々野村総合研究所のスタッフはEXA KIDS 2022 ファイナルのMiroボードの提供とコーディネートを今回担当させて頂きました。そのため、EXA KIDS 2022の予選から見学させて頂き、その雰囲気やイベント進行の流れを確認させてもらったのですが、その予選の時点で選手たちのレベルの高さに圧倒されました。
「チャレンジコース」で最優秀賞を獲得した中沢選手のように、UnityやBlenderを駆使して3D CGゲームを制作してきた選手は1人や2人ではありません。また「エキスパートコース」で最優秀賞を獲得したかっぷめん選手のように、現在ビジネスシーンで多く使われる言語・ツールを駆使している選手、ビジネスシーンで活用することを強く意識した作品を作られている選手も沢山見受けられました。
一次審査の段階では、作品は本当は凄いはずなのにプレゼンの時に作品自体がCPUを使い過ぎて動画通話ツールを起動したPC上では上手く挙動しなかったり、プレゼン中に接続が落ちてしまう、なんてトラブルもありました。ですがこの日開催されたファイナルでは、そんなトラブルも一切なくスムーズに全選手が発表されていました。むしろアドリブまで交えながら発表されている選手もいたり、動画であらかじめプレゼンを用意しつつ、質疑応答はきっちり自分で受け答えをしてみせる、といった選手もいらっしゃいました。作品だけでなく、プレゼンも思い思いに工夫されており、その点でも大人顔負けだったと感じています。
なにより、選手全員が問題に対して向き合い慣れているというのが筆者にとっては驚愕の事実でした。
EXA KIDS 2022では「シンカ」というイベント共通のテーマの他に、審査員の方がそれぞれお一人ずつ提示された個別テーマが存在します。選手は審査員テーマから1つをチョイスし、イベント共通テーマ「シンカ」とかけ合わせた2つのテーマに沿った作品を開発しなければならない、というレギュレーションが存在します。
選手たちはそれぞれが選んだテーマの組み合わせに真っ向から立ち向かい、あるいは自分なりの視点で自由にテーマを捉え、それらをかみ砕いて作品へと昇華していました。出来上がった作品は筆者らコンテストを初めて見る人間はおろか、審査員の方々までも圧倒するものばかり。
今の学校教育では「SDGs」という社会課題と向き合うためのテーマ設定が積極的に取り入れられている、と筆者は聞いたことがあります。
最近はテレビでも頻繁に取り上げられているため、ご存じの方は多いと思いますが、「SDGs (Sustainable Development Goals)」とは、持続可能で「地球上の誰一人取り残さない」よりよい世界を目指す、17のゴール・169のターゲットから構成され国際目標です。
ひとが立ち向かうにはあまりに強大で難しく、複雑に入り組んだ問題ばかりです。
現代の子供たちは、学校教育を通してそれらのあまりに大きすぎる問題に立ち向かう訓練を日常的に行っています。それは筆者ら大人世代が殆ど経験してこなかったものです。
これからはAIの時代が到来すると言われており、今も毎日のように新しいAIを活用したサービスが発表され世間を賑わせています。直近ではChatGPTが大々的に騒がれ、感度の高い人らが積極的にその可能性を探っている真っ最中です。
AIの時代に突入すると、これまで我々人間が担ってきた仕事の多くはAIに取って代わられると言われています。代わりに我々は別の役割を担うことになるのでしょう。
AIは非常に優秀でこれまで存在した多くの仕事を人に代わって肩代わりしてくれるでしょうが、一方で「大量のデータから設定された問題に対して最適解と思しきものを導き出す」ことしか出来ない、というある意味では限界も存在します。AIには出来ない「問題」を作り出すことも「問題に対する最適解」を評価することも、人間にしかできません。
今回のEXA KIDS 2022を通して筆者が感じたのは「あっ、この子たちが社会に出てきたとき、我々は絶対に彼らには勝てないな」という避けられない事実を目の当たりにしたことでした。
彼らは今の学校教育や「SDGs」を通じてなのでしょうか、問題に対して向き合い慣れており、問題に対する最適解を設定し慣れています。自らが出した最適解を実現するための行動力があることも示してくれました。
それはもしかしたら、一部の大人から見たら、子供なりの知識・経験の不足に縛られた拙さを感じるものかもしれません。ですがそれらは実に些末なことです。今後彼らは成長を続け、学習を続けます。社会に出るころには問題に正しく向き合うに足る十分な実力をつけることでしょう。
でもそうなった時に筆者ら「現時点の大人世代」が感じるのは、いったいどんな感情でしょうか?喜びや賞賛かもしれませんし、あるいは脅威や恐怖であるかもしれません。いづれであっても、我々「現時点の大人世代」が彼らを邪魔することがあってはならないし、彼らの才能やそれまでに身に着けた知識・経験・スキルを正しくアシストすることが我々「現時点での大人世代」の今後の役割になるのでしょう。または、彼らに負けないよう、彼らの姿を教訓として、今この瞬間から研鑽をはじめ、新しい時代に対応するべく努力し始めるべきなのでしょう。少なくとも「SDGs」や「AI」のような新しい概念に対して怯えた視線や侮蔑の言葉を投げつけるのではなく、まっすぐと向かい合うことこそが正しい姿なのだと、選手たちの様子を見て感じました。
EXA KIDS 2022 ファイナルから受けたあまりの衝撃に本懐を忘れるところでした。
今回、野村総合研究所はEXA KIDS 2022 ファイナルに対して「物品スポンサー」という立場でオンラインホワイトボード「Miro」を「寄せ書きボード」として提供させて頂きました。
事のきっかけは、EXA KIDS運営委員のお一人から、野村総合研究所が提供する「Miro 無償提供サポート」にご応募頂いたことです。
https://aslead.nri.co.jp/products/miro/community/
ですが、EXA KIDS運営委員の皆さんと筆者ら野村総合研究所のMiro担当とで話し合った結果、今回は通常の「Miro 無償提供サポート」をそのまま提供しても十分な活用は難しいだろう、ということが早々に判明し、通常とは異なる形で「Miro 無償提供サポート」をご提供することになりました。
具体的には、野村総合研究所からEXA KIDSにご提供したのは、Miroのボードたった1枚きりです。Miro環境もお渡ししていませんし、アカウントもご提供しておりません。
その代わり、野村総合研究所から当日イベントに関わるスタッフを派遣しました。イベント開催まではMiroボードで作る寄せ書きボードのデザインを双方一緒になって検討し、選手・見学者・審査員の皆さんみんなが楽しんでもらえるように様々な工夫をしました。
また、当日はイベントにもスタッフが参加し、みんなと一緒になってMiroボードに色々描き込んだり、選手の発表の様子を実況さながらにMiroボードに記録して行ったりしました。
Miroは非常に直観的に使うことができるツールで、誰でも簡単に馴染み、楽しみ、意見やアイディアを表現することができます。しかし、イベントでみんなで盛り上がりながらMiroボードで盛り上げるとなると、それなりにコツと言いましょうかノウハウが必要になります。
EXA KIDSの運営の皆さんは、今回Miroボードによる寄せ書きボードの他に、冒頭で紹介した株式会社TENTOの「noiz」も初めてイベントで導入されました。「noiz」もやはり非常に優れたツールで直観的に操作可能です。とはいえ、新しいツールをいくつも導入するのは非常に大変ですし、なにより選手らの作品の審査と発表、配信というイベントの根幹たる役割もあります。それらを全て行うのは、いくら優秀な方々でも非常に難しいです。
そういった事情もありまして、今回は「Miro 無償提供サポート」をボード自体の運営に徹する形でご提供させて頂きました。結果的にそれが功を制したようで、EXA KIDS運営の方々からも「NRI (※野村総合研究所の略称)はこんなことまでやってくれるのか!」と大変お喜びの声を頂戴し、我々としても嬉しく思います。なにより、選手たちの雄姿と関係された皆様の楽しむ場の提供の一助になれたことは大変誉れに思います。
野村総合研究所では引き続き「Miro 無償提供サポート」を提供させて頂きます。ご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお声がけください。
https://aslead.nri.co.jp/products/miro/community/
最後に、非常に個人的なことで恐縮なのですが、筆者はヴァーチャルアイドル「初音ミク」の発売以来の大ファンで、毎年夏に開催される総合イベント「マジカルミライ」でも全通するような、いわゆる「ミク廃」に相当します。
此度のEXA KIDS 2022 ファイナルの選手の中には、その「初音ミク」で楽曲を作品として発表した方がいらっしゃりました。筆者はその瞬間Miroスポンサーのスタッフとしての立場を忘れて思わずペンライトを振りだす勢いで興奮したのを今でも思い出します。もちろんYouTubeに発表済みだったその作品は「ミク廃」仲間に即座に共有させて頂いております。
いつの日か彼女の楽曲でステージ上でミクさんが歌い、マジカルミライで我々がペンライトを振りコールを叫ぶ日が来ることを夢見て、本文の筆を置きたいと思います。長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。