Case導入事例

工場×Miro×DX - 株式会社カクイチ様の多分野でのMiroの活用の事例
【株式会社カクイチ様】

2023年2月24日

ご相談・無料お見積り

株式会社カクイチ様(以下、カクイチ様)は、全国各地にて倉庫・ガレージの製造販売を手掛ける企業であり、全社へMiroをご導入いただいています。
この度、カクイチ様のご厚意により、倉庫・ガレージを作る長野県の工場へと見学させていただく機会をいただきました。
その中で、Miroを提供するミロ・ジャパン合同会社のメンバーと、弊社野村総合研究所のメンバーとで見学&ディスカッションをした様子をレポートいたします。
読者の皆様には、工場の様子や、Miroをどのように工場で活かそうとしているのか、そして工場だけでなく多分野にMiroを活かしている事例を知っていただき、
「自分たちも新しいことにチャレンジしてみよう」と思っていただけますと幸いです。

集合写真

写真:カクイチ様の工場メンバー(後列)と、東京支社のメンバー(前列左右)
野村総合研究所&ミロ・ジャパンのメンバー(前列中央3名)

カクイチ様では、企画・営業のメンバーにも広くMiroを使っています。
弊社でも利用事例の記事を公開しておりますので、そちらも併せてご参照ください。

従業員が自発的な自動化・IT化を進めるハイテク工場へ

カクイチ様の工場の敷地に降り立つと、広い敷地内にたくさんの工場・倉庫が並んでいます。
EVバスやEV三輪カートに乗らせていただき、工場の中でのIT化の様子をお伺いしました。
最初に見学させていただいたのは、工事用・農作業用のホースを樹脂から作成する工場です。
樹脂の原材料を溶かし、伸ばし、複数の層にして強度を高めながらホースが整形されていく様子を、実際に稼働している機械とともにご説明いただきました。
工場の中では、人員を減らすために随所に自動化・IT化の仕組みが取り入れられています。
下の写真は、左から右へと流れていくホースに対して、一定間隔でインクジェットでラベルを印字するという機械です。
印字された文字にかすれがないか、というのをカメラで撮影&AIで判別し、もし不備があった場合はパイプライン全体をストップさせるような自動化の仕組みが取り込まれています。
この工場では、多数の工程を経て何百メートルもの長さのホースのロールが出来上がります。
最後に検品したときに何かしらの不備が発覚すると、ホースをすべて作り直しになってしまい、原材料費や光熱費等が全て無駄になってしまいます。
そうした事故を防ぐために、印字結果のカメラ判定のように、工程と工程の合間に、すぐに検知した結果を表示して、不備があれば自動で止められるような仕組みが工場の作業員たちの手によって取りこまれています。

インクジェットでラベルを印字する機械

また、倉庫にも工場の従業員たちによるIT化が浸透しています。
下の写真は、作りあげたホースを格納しておく倉庫です。
青いホースが大量に積み上げられているのがわかります。
日々入庫・出庫が繰り返されていく倉庫で、在庫がいくつになっているのかを確認するために、過去にはバーコードリーダーで1件1件確認をしていたため、すべての検品が終わるまでに3時間超の時間がかかっていたそうです。
現在では、すべてのホースにRFIDのICタグを取り付け、スマートフォンに取り付けた発信器をかざすだけで、倉庫内にある在庫のICタグの情報をすべて読み取り、モニターに表示できるようになっています。
ものの数分ですべての検品が終了し、モニターに表示される検品数が1つふえるたびにどこかで聞き覚えのあるコイン取得音が鳴ったり、100を超えるごとに残機が1増える音が鳴ったり、と遊び心も欠かしていません。

作りあげたホースを格納しておく倉庫

カクイチ様の工場では、このように随所に従業員が独自でIT化・自動化を行った事例が見られます。
工場の業務の中で、従業員たちによって自発的なカイゼンの取り組みが行われる文化は、いったいどこから生みだされたのでしょうか。
そのルーツを、カクイチ様の鈴木琢巳さんにお伺いしました。

工場の変革に向けて~IT化、DX化を推進する第一歩としてのSlack導入~

過去、カクイチ様では「変革できない」「人が育たない」「いまのままでいいというムード」という停滞感を抱えていました。
工場自体はIT化を求めていましたが、ITリテラシーがそれほど高くないだけでなく、従業員のコミュニケーションにも課題をかかえていました。
工場が縦割りで上位下達になっており横の連携がない。
他責思考になりがちで、ミドル層も疲弊していく。
そんなコミュニケーションの課題を解決するために、2018年にSlackの導入に乗り出しました。
当時はスマートフォンを触ったことがない人もおり、「工場でスマートフォンを見ていたら事故で人が死ぬのではないか」といった反対の声も上がっていました。
ただ、反対の声を押し切り、経営判断でIT化を推進していきました。

反対の声もあがっていた

従業員全員にスマートフォンを配り、Slackを導入し、コミュニケーションの活性化を図る。
重視したのは「オープン性」「ネットワーク構築」「心理的安全」の3点。
少しずつ従業員同士のコミュニケーションも増えていき、気軽に「ありがとう」が言えるような良い文化が生まれ、縦割りの文化が薄れていきます。
とある従業員が仕事の失敗に関しての投稿をSlackにしたら、全国の従業員が困りごとを解決するための意見をくれた、という事例もありました。
横のつながりが薄かった状態から一変し、目の前の困っている人を助ける文化が生まれ、情報を共有することにより自然とIT化・DX化が進み始めました。
そして、次の段階へ踏み出したのがMiroの導入です。

集合知の創発をオンラインでも再現する、Miro利用の取り組み

Slackによりオンラインのコミュニケーションが活性化したカクイチ様ですが、オフラインだからこその成功体験もありました。5人一組で合宿をして、同じ時間を共有し、語り合う。
一緒にご飯を作り、互いの理解を深めながら、コミュニケーションし、コラボレーションする。
そうしたことで生まれた「集合知」により、新たなアイデアと事業がいくつも立ち上がり、発展してきました。
この合宿を行う場である「ヴィラ」は、Miroを使ってデザインされ出来上がりました。
下の図はMiroによるヴィラのデザインの様子です。

ヴィラのデザインの様子

我々も今回特別にヴィラに入らせていただきました。
コンセプト別の合宿施設がいくつか建てられており、暖炉やキッチンなどがあり、温かみのある空間です。
チームメンバー同士でヴィラで合宿を行えば、自然とわくわくするようなアイデアが生まれる様子がありありと想像できます。
ベーカリーも併設されており、朝にはメンバーみんなでおいしいパンをたべながら会話が弾むことでしょう。

ヴィラの見学

ヴィラの中には黒板も設置されています。
ゆったりとした時間を過ごしながら、暖炉を囲みながら話したり、黒板を前にして立ちながら未来を語り合ったり、という姿が目に浮かびます。

ヴィラの中の黒板

このような「合宿」といった取り組みは、オフラインだからこそで出来ていたものであり、(この記事を記載している2022年現在)コロナ禍によって分断され、行うのが難しくなっています。
これをオンラインでも再現できるのが、Miroです。
Miroのボードという同一空間を共有し、アイデアを出し合い、共創しあう。
時間すら飛び越えて同じ体験ができるからこそ知識が生まれ、その体験をする場がMiroなのです。
今後はMiroを使い、規律型から自立型の組織への変革や、ネットワーク型の組織への変革を行いたい、と鈴木さんは語ってくれました。

知識創発の場づくりの経験を活かした、顧客体験を最大化するホテル運営

カクイチ様では、建築技術を活かして、アンシェントホテル浅間軽井沢というホテルを建築・運営しています。
こちらも、ヴィラ同様にMiroを使って戦略等の検討をしており、宿泊者が「また来たい!」と思えるような体験ができる空間を作り出しています。
カクイチ様の事業に向けた信念が垣間見えた、素敵なホテルでした。

アンシェントホテル浅間軽井沢 外観
アンシェントホテル浅間軽井沢 内観

アンシェントホテルは非日常を満喫できる、森に囲まれた静かな立地です。
ホテルの全部屋ごとにテーマが異なり、宿泊者一人ひとりにとって最高の部屋が見つかること間違いありません。

工場の従業員が集まり、Miroを使った今後の働き方を考えたディスカッション

工場見学をさせていただいた後は、工場に働く方々に集まっていただき、工場の働き方をどのように変えられるか、のディスカッションを行いました。
工場長の田玉千章さんを含め、若手の方々からベテランの方まで、幅広く集まっていただき、会議室の中でMiroを行いながらディスカッションを進行します。
この時はMiroを使い始めたばかりの方もいたため、Miroの使い方を数分レクチャーしたうえで始めています。
意見をMiroのボード上に書いていったり、各々の意見を実際に言葉で説明してもらったり、というオンライン・オフラインを混在した使い方で進行していきました。

ディスカッションの様子

ワークの中では、「こんな工場はいやだ!」というテーマでアイデアを出していただき、そこから素晴らしい工場にするためにはどうすればいいのか、というアイデアを出していただきました。
普段は工場長やベテランの方がいると意見がなかなか言えなかったり、そもそも工場長とほとんど話したことがなかったり、という若手の方からも、たくさんのアイデアが出てきました。
意見を言葉で発するには抵抗がある人でも、意見を付箋に書く、というのは抵抗感が薄れるようで、活発に意見を記入している様子が見られました。

Miroでディスカッションの様子1

約40分という短い時間の中でのディスカッションでしたが、現状と未来を踏まえたたくさんの課題が生まれました。
そして、これらの課題を解消するためのワークグループがまた立ち上がっていきます。
Slackによってつくられてきた文化が、Miroによってまた新たなシナジーを生みだしていく様子を体験することができました。
きっと、今後もカクイチ様の工場の中では、IT化・DX化に向けたわくわくする施策が、Miroを通じて生まれていくことでしょう。

Miroでディスカッションの様子2

更なるDX化と新たな文化づくりに向けて

鈴木さんが考える今後の課題は「学習する組織への変革」だそうです。
カクイチ様では今回紹介したような設計業務やワークショップ・日々の業務だけでなく、A-Site MAP(全国の事業所の紹介をMiroで行う取り組み)など、新しい分野を切り開こうとしています。
NRI, Miroも一体となって、カクイチ様の価値創発を支援していきます。

株式会社カクイチ

「やろう。だれもやらないことを。」明治19年に長野県で創業し、小売、問屋、メーカー、海外進出、販売、サービス業とイノベーションを起こし続け、創業と変革を繰り返してきました。
近年では、農業用倉庫・ガレージの屋根をお借りした太陽光発電事業、電動フォークリフトのサブスクリプション事業、ウルトラファインバブル発生装置を使った農業改善事業、MaaS事業と、SDGsを重視した事業展開を進めております。

会社HP:https://www.kakuichi-house.jp/
代表者:代表取締役社長 田中離有
本部所在地:〒102-0084 東京都千代田区二番町5-1 住友不動産麹町ビル

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